日考塾〜憲法とは即ち歴史である

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国家とは何か

 他のページにおいて日本の国柄や国体について話していますので、こちらは近代国家の要件になります。まず国家を定義するとしたら、言語、歴史、伝統、文化など過去から現在未来に至るまでの連続した価値観を共有する人々によって作られる社会的共同体であると私は考えています。美濃部達吉の憲法撮要において、国家の本質について以下のことを記載しています。

 

『国家の本質に関する正当なる見解は唯国体説にのみ求むることを得べし。国体説の主眼とするところは、国家が単に現在の国民のみならず、遠き父祖より生命を受け後代子孫にその声明を伝ふる国民の全体の結合よりなる単一体にして、その分子たる国民各個人の生命とは異なりたる永久的の生活体をなし、それ自身に目的を有し、意志力を有し、とくに統治の力はこの国体的単一体に属するものなることを主張するの点にあり。』(憲法撮要、P12)

 

 国民については、国家に属する人で考えるか、民族単位で考えるかによっても意味合いが変わってきます。また臣民という呼び方と人民という呼び方もあり、臣民は君主制国家による呼び方人民は共和制国家による呼び方になります。

 

 美濃部達吉の国家の本質について、ここの意味の国家を構成する国民とは、現在の国民のみによらないこと、つまり永続的な国民が国家を構成するといえます。日本においての永続的な国民とは、当然日本人になります。また民族においても日本人であり、他国の問題点の一つとなっている民族問題は、日本にはほとんどないといえます。そして永続的な国民とは、どのような意味と考えるべきか。ここで考えてほしいことは、現代社会に存在しているあるいは実際に生活をしている人々を、永続的国民と捉えるかということです。これらを包括的に定義付けして考えるのであれば、現代社会に存在する国民はまず当然に含まれます。祖先の代あるいはもっと前の過去に存在した人々も永続的国民であり、それだけに及ばず国家の建国に携わった人々や未来に生まれてくる人々も永続的な国民といえます。

 

 現在の国民がなすべき役割とは、現在存在している人々のためだけの幸福ではなく、建国時より存在した人々が創り上げてきた国家の体系や伝統、文化、慣習、これらのものが時代の変遷によって変化つまり発展もあれば衰亡していったもの、それを歴史という形で紡いできた過去の先人らの叡智を受け継ぎ、現代に存在する人々が、未来に生まれてくる人々に対して受け渡していくことが、永続的に存在する国民の中にある現代の国民の役割であり、義務であるといえます。

 

 これこそ国家が国家として存在する概念であり、国民の役割が希薄になり、各々の国民が義務だと思わなくなった時点で国家は衰退の方向へ向かわざるを得なくなってしまいます。つまり現在の国民が、未来に生まれてくる人々に受け渡すという意志がなくなれば、国家は存在しなくなります。それだけ脆弱なものであり、しかし国民全体がそういった認識に立てば強固なものでもあります。

 

 近代の要件にあるだけではなく、国家とは、歴史、伝統、文化を受け継ぎ、永続的の単一体として存在していること、それは国民が受け継いでいるということになります。

 

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