日考塾〜憲法とは即ち歴史である

このエントリーをはてなブックマークに追加

君主国とは何か

 君主国とは、君主が存在している国になります。この場合の君主とは、その国の歴史、伝統、文化に基づく権威が伴っており、地位が世襲であることが君主国になります。

 

 イギリスについては、イギリス国王はもちろん定義された権能を持つ君主になります。戦後になってからの日本では、日本は君主ではないが象徴ということを言われ、君主国であることを否定されていました。しかし戦前であろうが戦後であろうが、日本は歴史、伝統、文化を代表する君主である天皇が存在しているため、君主国になります。しかも今や世界最古の君主国であり、王朝が全く変わらない万世一系の天皇になります。

 

 制度としての君主制について述べておきますと、制限君主制と専制君主制に分かれることになります。制限君主制とは、君主の権力が憲法などにより制限され、実際の政治は議会や首相が行うことになります。立憲君主制はこれに該当します。専制君主制とは、そもそも憲法に基づかず、君主は国の支配権者として実際の政治を行う体制になります。古代エジプトの神権政治や絶対君主制などはこれに該当します。ここで君主の権能を制限することについて考える上で、フォーテスキュー『イングランド法の礼賛について』(de laudibus legum angliae)に、以下の記述があります。

 

『イングランドの国王は、彼の王国の法を恣意的にかえることはできません。なぜなら、最上位にある彼自身はその人民を、王権によって(regali)のみならず、政治権力によって(politico)支配しているからです。もし、国王自身が王権のみによって人民に有意しているのであれば、国王は人民に諮ることなくその王国の法を変更し、また、タリッジ(特別賦課税)及びその他の負担を人民に課することができるでしょう』

 

 また、トマス・アクィナスの著書である、キプロス王のために書いた『君主の統治について』(de regimine principum)の中で、国王がその人民を専制的に支配することが自由にできないように王国が設立されることを望んだと考えられますが、これは、国王の権力が政治権力による法によって制約されている場合にのみ生じていることです。「政治権力によって支配している国王は、その王国の法を変更することができない」(rex politice dominans non potest mutare leges regni sui)と表題の付いた第九章からの抜粋をしています。これは、君主の権力を制限する制度について述べており、1470年頃に書かれた本になります。

 

 日本の国柄については別のページで述べていますが、天皇がシラス国が日本になります。つまり統治ということです。その対義語になるウシハクという言葉がありますが、まさに専制君主、専制支配に当たります。日本の歴代天皇はウシハクということをしていません。古事記において天照大神が邇邇芸命に言われた、「皇孫(すめみま)就(ゆ)きて治(しら)せ」とは、まさに歴代天皇が行ってきたこと。これは明治になり、帝国憲法を制定したときの帝国憲法第1条に該当する箇所になります。

 

 ヨーロッパの視点で日本の国家を定義することが多いですが、日本の国柄には異なる概念がありますので、明確に当てはめることは難しいものになります。とはいえ、それをヨーロッパのルールに合わせ、そして日本の歴史、伝統、文化に沿って作られたのが帝国憲法になります。

 

この記事はお役に立ちましたでしょうか。
この記事が誰かの役に立ちそうだと感じて頂けましたら、下のボタンから共有をお願い致します。


日考塾 所信 日考塾概要 お問い合わせ 参考文献