日考塾〜憲法とは即ち歴史である

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君主の3つの権利

 君主には、3つの権利があります。専制君主国の君主は別として、立憲君主国の君主は、憲法によって君主大権が制限されますので、公に関与する事はありません。これに関与することになれば、立憲政治ではなく専制政治に繋がりますので、おいそれと関与することは出来ません。

 

 立憲君主のあり方や近代憲法については、イギリスがいわばグローバルスタンダードにもなっており、それは大統領制を布く共和国においても同様となります。イギリスでは、ウォルター・バショットという人が書いた「イギリス憲政論」という本にもあるように、憲法によって制限される君主でも3つのことは行うことが出来ると書いています。それは、警告する権利、激励する権利、相談を受ける権利になります。

 

 警告する権利とは、君主の意に沿わない決定が内閣などで決定された場合に、その内閣に対して警告することが出来ます。
 激励する権利とは、内閣で決定された場合などに対して、助言や激励をすることになります。
 相談を受ける権利とは、内閣からの情報提供や相談を受けることで、意思表明することになります。

 

 すべて法的拘束力がないという点と、君主と閣僚との間の意思疎通については、秘密にする慣習があります。日本でもこれらは内奏という形で行われています。内奏の秘密を漏らして辞任にまで発展した事件として、増原内奏問題というのがありました。当時、増原惠吉防衛庁長官が昭和天皇に「当面の防衛問題」について内奏したとき、新聞記者にその内容を紹介したことが天皇の政治利用として、政治問題となりました。天皇に問題が発展することを避けるため増原防衛庁長官は辞任しました。

 

 現在でも内閣の助言と承認によって国事行為が行われること、それ以外は宮内庁の責任として公的行為が行われています。帝国憲法においては、政治的無答責であることの条文として、「神聖にして侵すべからず」というものがありました。立憲君主国においては、君主大権を行使するために、代わりに執行する内閣がいます。それがあるため、政治的責任を負うことがありません。仮に内奏を漏らしたことによって、天皇がその政策を後押ししているということにもなれば、失敗したときの責任を負うことにも繋がります。そんな所から、君主の3つの権利については認められていますが、秘密にしなければならないというわけです。

 

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