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伊藤博文の憲法義解〜第十一条〜

 第十一条になります。

 

第十一条 天皇は陸海軍を統帥す
(天皇は、陸海軍の最高指揮権をもつ)

 

現代語訳
 恭んで考えるには、太祖たる神武天皇がこの国を建国し、物部、靫負部、来目部を統率して、
その後、歴代天皇は内外に事が起これば、自ら兵を率いて征討の労をとり、あるいは皇子、皇孫を代わりに行かせ、そうして臣、連はその武将を務めた。
天武天皇は兵政官の長を置き、文武天皇は軍令を修め、三軍を統率するのに大将軍が一人任じることとした。大将の出征には必ず節刀(天皇の権限を代行することを意味する刀)を授ける。
兵馬の指揮権はなお朝廷にあった。その後兵事は武門に帰したため、政治のおおもとが衰えた。
明治天皇中興の初め、親征の詔を発して、大権を総攬し、
それ以来兵制を改革し、長年の悪弊を一掃し、
軍を統帥する本部を設け、自ら陸海軍を統率されていた。
そうして、歴代天皇の威光や偉業を再び昔のまま復元することができた。
本条は、兵馬の統一は至尊たる天皇の大権であり、もっぱら帷幄(統帥機関のことで、陸軍であれば陸軍参謀本部、海軍であれば海軍軍令部)が発する軍令に属すことを示している。

 

口語訳
 恭て按ずるに、太祖実に神武をもって帝国を肇造(ていぞう)し、
物部(もののべ)・靱負部(ゆきえべ)・来目部(くるめべ)を統率し、
嗣後(しご、その後)歴代の天子‐内外事あれば自ら元戎(けんじゅう、連弩のようなもの)を帥(ひき)い、
征討の労を親らし、或は皇子・皇孫をして代り行かしめ、而して臣連(おみむらじ)二造はその褊裨(へんぴ、高位の将官)たり。
天武天皇兵政官長(つはもののつかさのかみ)を置き、文武天皇大に軍令を修め、
三軍を総ぶるごとに大将軍一人あり。大将の出征には必ず節刀(せっとう)を授く。
兵馬の権は仍朝廷に在り。その後兵柄(へいへい)一たび部門に帰して政綱従て衰へたり。
 今上(明治天皇)中興の初、親征の詔を発し、大権を総覧し、
爾来(じらい)兵制を釐革(りかく、改革)し、積弊を洗除し、
帷幕の本部を設け、自ら陸海軍を総へたまふ。
而して祖宗の耿光(こうこう)遺列再び其の旧に復することを得たり。
本条は兵馬の統一は至尊の大権にして、専ら帷幄(いあく)の大令に属することを示すなり。

 

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