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伊藤博文の憲法義解〜第二十三条〜

 第二十三条になります。

 

第二十三条 日本臣民は法律に依るに非すして逮捕監禁審問処罰を受くることなし
(日本臣民は、法律によることなく、逮捕、監禁、審問及び処罰を受けることはない)

 

口語訳
 本条は人身の自由を保明す。逮捕・監禁・審問は法律に載するところの場合に限り、その載するところの規定に従いこれを行うことを得べく、而して又法律の正条によるに非ずして何等の所為に対しても処罰することを得ず。必ずこれの如くにして然る後に人身の自由、始めて安全なることを得べきなり。けだし人身の自由は警察及治罪の処分と密接の関係を有し、その間分毫(ぶんごう、わずかな量)の余地を容るること能はず。一方においては治安を保持し、罪悪を防制し、及検探糾治(けんたんきゅうち)するの必要なる処分をして敏捷強勁ならしむるに拘らず、他の一方においては各人の自由を尊重してその界限を峻厳にし、威権の蹂躙するところたらしめざるは、立憲の制において尤(もっとも)至重の要件とするところなり。故に警察及司獄官吏法律によらずして人を逮捕し又は監禁し又は苛刻の所為を施したる者はその罰私人より重からしめ(刑法第二百七十八条・第二百七十九条・第二百八十条)、而して審問の方法に居てはまたこれを警察官に委ねずして必ずこれを司法官に訴へしめ、弁護及公開を行い、司法官又は警察官被告人に対し罪状を供述せしむる為に凌虐(りょうぎゃく)を加うる者は重を加えて処断す(刑法第二百八十二条)。凡そ処罰の法律正条によらざる者は裁判の効なきものとす(治罪法第四百十条・刑法第二条)。これ皆務めて周匝?密(しゅうそうしんみつ)の意を致してもって臣民を保護する所以(ゆえん)にして、而して拷問及その他中古の断獄は歴史上既住の事蹟として復(また)現時に再生することを得せしめず。本条更にこれを確保しもって人身の自由をして安固の塗轍(とてつ)に入らしめたり。

 

現代語訳
 本条は人身の自由を明らかにして保障する。逮捕、監禁、審問は、法律に記載されている場合に限り、その記載されている規定に従って行うことができ、そしてまた、法律の正文によらずに、いかなる行為に対しても処罰することはできない。必ずこのようにして、その後に人身の自由は、初めて安全であることを得られるのである。思うに、人身の自由は、警察及び刑事の処分と密接な関係があり、わずかな隙間の余地もない。一方では、治安を保持し犯罪を抑制し、捜索して罪を糾すのに必要な処分を、素早く強力に行うにかかわらず、他方では、各人の自由を尊重して、その限界を厳しくし、国家権力によって蹂躙されないようにするのは、立憲制度においてもっとも重要な要件とするところである。ゆえに警察官、司法官や刑務官は法律によらず人を逮捕、監禁または苛酷な皇位をした者は、その罰を私人より重くさせ(刑法第二百七十八条、第二百七十九条、第二百八十条)、そして審問の方法に至っては、警察官に委ねず、必ずこれを司法官に訴えさせ、弁護及び公開を行い、司法官または警察官が被告人に対して罪状を供述させるために凌虐を加えるものには重ねて処断する(刑法二百八十二条)。およそ法律の正条によらない処罰は、裁判の効力はないものとする(治罪法第四百十条、刑法第二条)。これはみな努めて慎重に緻密に意を致して臣民を保護することを目的とし、そして拷問及びその他中古における罪の裁き方は、歴史上のかつての事績として、現代に繰り返されることはない。本条は更にこれを確固たるものとし、人身の自由を安定した道に入らせた。

 

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