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伊藤博文の憲法義解〜第三章〜

 第三章帝国議会になります。

 

口語訳
第三章 帝国議会
 第三章は帝国議会の成立及権利の大綱を挙ぐ。けだし議会は立法に参する者にして主権を分つ者に非ず。法を議するの権ありて法を定むるの権なし。而して議会の参賛は憲法の正条において附与するところの範囲に止まり、無限の権あるに非ざるなり。(※)
 議会の立法に参するは立憲の政における要素の機関たる所以(ゆえん)なり。而して議会は独り立法に参するのみならず、併せて行政を監視するの任を間接に負担する者なり。故に我が憲法及議院法は議会の為に左の権利を認めたり。一に曰く、請願を受くるの権、二に曰く、上奏及建議の権、三に曰く、議員政府に質問し弁明を求むるの権、四に曰く、財政を監督するの権これなり。若(もし)議会にして果して老熟着実の気象に基き、平和静穏の手段を用いてこの四条の権を適当に使用することを愆(あやま)らざるときは、もって権力の偏重を制し、立法・行政の際(あいだ)調和平衡して善良なる臣民の代議たるに負かざるべきなり。

 

※ 義解稿本は次のように職務を要約した。「国家の目的は臣民を保全するに在り。・・・臣民を保全するの目的を達するはまた臣民の参預による。第一、臣民遵由の軌道を定むるは法律をもってす。・・・而して法律は人類の天性及必要より生ず。故に法律を制定するは衆謀を詢ふを要す。第二、国を立つるの給需は租税に取る。而して国家の財政と国民生計の進歩とは互に親密の関係を為す。故に租税を徴課するは衆言を聴くを要す。これ乃(すなわち)議会の役は立憲の政における要素の元則として、君徳の体美を翼け、国家の昌栄を永遠に扶持するの機関たる所以なり」。

 

現代語訳
 第三章は帝国議会の成立及び権利の大綱を掲げる。思うに、議会は立法に参与する者であり、主権を分けたものではない。法律を審議する権能はあるが、法を定める権能はない。そして、議会の参与は憲法の条文において附与する範囲にとどまり、無限の権能があるわけではない。
 議会が立法に参与するのは、立憲政治において要素としての機関である所以である。そして、議会はただ立法に参与するのみならず、あわせて行政を監視する任務を間接的に負うものである。ゆえに我が憲法及び議院法は、議会のために次の権利を認めている。一つ目は、請願を受ける権利、二つ目は、上奏及び建議を権利、三つ目は、議員が政府に質問し弁明を求める権利、四つ目は、財政を監督する権利である。もし、議会が熟練した着実な気質に基づき、平和で静穏な手段を用いて、この四つの権能を誤らずに適当に行使するときは、権力の偏重を抑制し、立法と行政の関係も平衡を保ち、善良なる臣民の代表議員として背かないものとなるべきである。

 

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