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伊藤博文の皇室典範義解〜第十一条〜

 第十一条になります。

 

第十一条 即位の礼及大嘗祭は京都に於て之を行ふ
(即位の礼及び大嘗祭は、京都で行う)

 

口語訳
 恭て按ずるに、天智天皇称制の後、更に即位の礼を行われし以来、歴代相因るの大典となれり。文武天皇紀に載せたる即位の詔に「集侍皇子等、王、臣、百官人等、天下公民諸々間食と諮る」とあるは、蓋し、上代の遺例にして皇族以下百官人民を集めて詔命を天下に布きたまいしなり。即位の古礼の史乗に見えたるは持統天皇紀に「物部ノ麻呂ノ朝臣樹大盾ヲ、神祇伯・中臣大島朝臣読天神寿詞畢、忌部ノ宿禰色夫知奉上ス神璽剣鏡於皇后、皇后即天皇ノ位ニ、公卿百僚羅列匝拝而拍手焉」とあるを始とする。(此の前孝徳紀に見えたれとも備わらず。)即位の式は大極殿にて行われ、冕服を服し高御座に即きたまう。(貞観儀式〉冷泉天皇御悩に由り、紫宸殿にて行われる。其の後大極殿災廃して、或いは太政官庁にて行われ、或いは南殿〈即ち紫震殿)にて行われたり。武門政を専にするの時、用度供給せずして践祚の後数年を経と言えども、猶大礼を行われざることありし。維新の後、明治元年八月二十七日即位の礼を挙行せられ、臣民再び祖宗の遺典を仰望することを得たり。十三年、車駕京都に駐まる。旧都の荒廃を嘆惜したまい後の大礼を行う者は宜く此の地に於いてすべしとの旨あり。勅して宮闕(きゆうけつ)を修理せしめたまえり。本条に京都に於いて即位の礼迄び大嘗祭を行うことを定めるは大礼を重んじ遺訓を恪み、又本を忘れざるの意を明らかにするなり。
 大嘗の祭は神武天皇元年以来歴代柏因って大典とはせられたり。蓋し、天皇位に即き、天祖迄び天神地祇を請饗せられるの礼にして一世に一度行われる者なり(天武天皇以来年毎に行うを新嘗とし、一世に一度行うを大嘗とする。)王政の中頃衰えたるとき此の儀久しく廃絶したりしに(後土御門天皇以来二百二十二年の間廃止し、東山天皇に至り再び行われ、中御門天皇以来五十一年の間行われず。桜町天皇に至って挙行せられる。〉明治四年十一月、詔ありて挙行せられたり。

 

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