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伊藤博文の皇室典範義解〜第四十五条〜

 第四十五条になります。

 

第四十五条 土地物件の世伝御料と定めたるものは分割譲与することを得す
(土地及び物件で世伝御料と定めた物は、分割及び譲与する事は出来ない)

 

口語訳
 恭て按ずるに、世伝御料は皇室に係属する。天皇は之を後嗣に伝え、皇統の遺物とし、随意に分割し又は譲与せられることを得ず。故に、後嵯峨天皇、後深草天皇をして亀山天皇に位を伝えしめ、遺命を以て長講堂領二百八十所を後深草天皇の子孫に譲与ありたるが如きは一時の変例にして将来に依るべきの典憲に非ざるなり。
 上代に屯家(みやけ)を置かる、又は御田の穀を収めるの処を屯倉と謂う。垂仁天皇紀に「屯倉此云禰夜気」と註せる是れなり。仁徳天皇紀に「倭屯田(ヤマトノミタ〉者、毎御宇帝皇之屯田也、其雖帝皇之子、非御宇者、不得掌矣」とあり。是れ上古既に世伝御料の制ありて、継体の天皇之を掌有したまいしなり。其の他の屯田は賜予又は遺命を以て分割譲与せられること総て勅旨に随う者あり。即ち天皇の私法上の財産として皇室に係属せざる者なり。安閑天皇紀に「為皇后次妃建立屯倉之地、使留後代、令顕前述」とあるが如き。是れ世伝御料と其の類を異にすること知るべきなり。
 我が肇国の初夙に一国統治の公義に依り、豪族の徒を斥けて其の私に邦土を領有するを許さず。(古事記、建御雷神大国主命に問えらくの条に、汝がうしはける葦原の中つ国は我が御子の知らさん国なり云々。)而して、皇室の経費は全国の租税を以て之を供奉し、更に内庫の私産を用いて供給するを仮らざりしは全く立憲の主義に符号する者にして、善美なる国体の基礎なりと謂うべし。故に、本条は上代の所謂屯家御田の類、専ら一部の御料に属する者を指す。而して、皇室経費は別に憲法を以て之を定めたり。

 

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