日考塾〜憲法とは即ち歴史である

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十四か条の平和原則とは

 アメリカ第28代大統領ウッドロー・ウィルソンが1918年1月8日アメリカ連邦議会にて演説の中で発表した平和原則になります。
「十四か条」については以下のとおりになります。

 

第1条:秘密外交の廃止
 「開かれた形で到達した開かれた平和の盟約。その締結後は、いかなる種類の秘密の国際的合意もあってはならず、外交は常に率直に国民の目の届くところで進められるものとする。」
 第一次世界大戦中に結ばれていた密約の廃止、この秘密外交によって日本やイタリアが戦争介入をしてきましたが、それを否定するものになります。

 

第2条:海洋航行の自由
 「平時も戦時も同様だが、領海外の海洋上の航行の絶対的な自由。ただし、国際的盟約の執行のための国際行動を理由として、海洋が全面的または部分的に閉鎖される場合は例外とする。」
 これは大英帝国の海上覇権を否定するもので、当時の海洋国家といえば日本も入り、イギリスと日本を否定するものになります。

 

第3条:経済障壁の撤廃
 「和平に同意し、その維持に参加するすべての諸国間における、すべての経済障壁の可能な限りの除去と貿易条件の平等性の確立。」
 当時経済大国三位のアメリカが一位を狙うというものになります。

 

第4条:軍備の縮小
 「国家の軍備を、国内の安全を保障するに足る最低限の段階まで縮小することで、適切な保証を相互に交換。」
 世界各国の軍事力の均等化、つまりアメリカ並みの水準にするというもの、第一次世界大戦に嫌気が差し、「もう戦争はしたくない」という気分から、受け入れられましたが、ロシアにおいてはロシア革命最中であり、その干渉戦争の介入を阻止することにもつながりました。

 

第5条:植民地問題の公正解決
 「植民地に関するすべての請求の、自由で柔軟、かつ絶対的に公平な調整。その際には、主権に関するそうしたすべての問題の決着に当たっては、当事者である住民の利害が、法的権利の決定を待つ政府の正当な請求と同等の重みを持たされなければならない、という原則に基づくものとする。」
 民族自決をうたっているものになります。オスマン帝国やロシア帝国などの他民族帝国が多くある中、民族単位で実力があれば国家として認められるようにするものになります。

 

第6条:ロシアの回復
 「すべてのロシア領土からの撤退と、ロシアに影響を及ぼすあらゆる問題の解決。それは、ロシアに対して自らの政治的発展と国家政策を独自に決めるための、制約と障害のない機会を得させるために、世界各国の最良かつ最も自由な協力を確保し、またロシアが自ら選んだ制度の下で、自由な諸国の社会に真摯に迎えられることを保証するだろう。また歓迎にとどまらず、ロシアが必要とし希望するあらゆる援助の提供も保証するだろう。今後何カ月かの間に、ロシアに対して姉妹諸国が支える待遇は、それら諸国の善意と、彼ら自身の利益と切り離してロシアが必要としているものへの理解と、彼らの知的で、しかも利己主義を排した同情心の試金石となるだろう。」
 ロシア革命最中であり、時間を与えるということ、支援するということになります。

 

第7条:ベルギーの回復
 「ベルギーが他の自由諸国と同様に享受している主権を制限しようとする試みがあってはならない。ベルギーから撤退し、同国を復興させなければならない。このことについては、全世界が同意してくれるはずである。各国が相互の関係を管理するために自ら設定し決定した法律に対する信頼を回復する上で、これほど貢献する措置はないだろう。この治癒的行為がなければ、国際法全体の構造と正当性は永久に損なわれる。」
 第一次世界大戦のイギリスの戦争目的は、ドイツによって侵略されたベルギーの回復でしたが、それをアメリカが介入し横取りするようなもの。

 

第8条:フランス領の回復
 「フランスの全領土が解放され、侵略された部分は回復されるべきである。また、1871年にアルザス・ロレーヌ地方に関してプロシアがフランスに対して行った不法行為は、50年近くも世界の平和を乱してきたのである。全員の利益のためにもう一度平和が確保されるために、この不正行為は正されるべきである。」
 常にフランスとドイツで取り合ってきたアルザスとロレーヌをアメリカが調整するというもの。

 

第9条:イタリア国境の調整
 「イタリア国境の再調整は、明確に認識できる民族の境界線に沿って行われるべきである。」
 元々1882年ドイツ宰相ビスマルクによって無理やり結ばされた三国同盟でしたが、ハプスブルクを無視し、イタリアを有利にするというもの。

 

第10条:オーストリア・ハンガリー帝国の自治
 「われわれは、オーストリア・ハンガリー国民の諸国間における地位が保護され確保されることを望む。彼らには、自治的発展の最も自由な機会が与えられるべきである。」
 多民族国家で構成されているオーストリア・ハンガリ帝国の民族自決。帝国崩壊を指すもの。

 

第11条:バルカン諸国の回復
 「ルーマニア、セルビア、モンテネグロからの撤退が行われるべきである。占領された領土が回復され、セルビアは海への自由かつ安全な交通路を与えられ、いくつかのバルカン諸国間の相互の関係が、忠誠心と民族性という歴史的に確立された方針に沿って、友好的な協議により決定され、またいくつかのバルカン諸国の政治的、経済的な独立と領土保全に関する国際的な保証が結ばれるべきである。」
 バルカン諸国を民族単位で自治を認めさせるということ、つまり民族自決。

 

第12条:トルコ少数民族の保護
 「現在のオスマン帝国のトルコ人居住区域は確実な主権を保証されるべきだが、いまトルコ人の支配下にある他の諸民族は、確実な生命の安全と自立的発展のための絶対的に邪魔されることのない機会を保証されるべきである。そしてダーダネルス海峡は、国際的保証の下で、すべての諸国の船舶と通商に自由な通路として恒久的に開かれるべきである。」
 セーヴル条約、つまりオスマン帝国の崩壊を指すもの。

 

第13条:ポーランドの独立
 「独立したポーランド国家が樹立されるべきである。そこには議論の余地なくポーランド人である 人々の居住する領土が含まれ、彼らは海への自由で安全な交通路を保証され、政治的、経済的な独立と領土保全が国際的盟約によって保証されるべきである。」
 当時ポーランドはロシア、オーストリア、プロシアによって分割されており、ポーランドという国がありませんでした。その独立を意味します。

 

第14条:国際平和機構の設立
 「大国にも小国にも等しく、政治的独立と領土保全の相互保証を与えることを目的とする具体的な盟約の下に、諸国の全般的な連携が結成されなければならない。」
 国際連盟の設立です。アメリカは入らず日本は常任理事国として、石井菊次郎や新渡戸稲造を始めとして日本がヨーロッパの問題を片づけていくことになります。

 

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