日考塾〜憲法とは即ち歴史である

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もう一つの憲法である憲政の常道

 まず憲政とは、「憲法をもってする政治」、「憲法に遵拠して行うところの政治」であり、憲法に遵拠するとはどういう意味かと言えば、憲法典を制定し、これに基づいて組織を形成する。しかしそれだけでなく、また単に条文に従っていればいいわけでもなく、その精神に従った運用をしなければなりません。そこで生まれたものが憲政の常道になります。

 

 大正デモクラシーの時期に民本主義を唱えた吉野作造という人物がいます。この人は、「憲政の本義を説いてその有終の美を済すの途を論ず」において、国民の多大の努力や奮闘を要し、一定の主義や方針に基づく奮闘や努力が必要になります。

 

 憲法の制定に至る根本精神に従うことで、制度として足りない部分を改善し加え、運用していかなければならない。まとめますと立憲政治とは、憲法の条文に拠って行うところの政治であるとともに、その精神に拠って行うところの政治でなければならないということを述べています。

 

 大正デモクラシーの時期に憲政の常道が、憲法的習律として認められていくことになりました。
憲政の常道とは、「衆議院第一党の総裁が総理大臣になること」、「政権交代の前後に総選挙があり、国民に選択する機会が与えられること」になります。つまり現行憲法第五章「内閣」において記載されている内容はまさに憲政の常道が明文化されたものになります。

 

 憲法習律について、イギリスの憲法学者であるA・V・ダイシーが以下のように述べています。
「憲法習律の違反者は国法そのものと対決させられる」(A・V・ダイシー『憲法序説』伊藤正己他訳、学陽書房、1983年)

 

 つまり条文化されていなくても、運用として行っていくことにより、それが習律化されていきます。これを法律用語でいえば法的確信といいます。条文がないから守らなくていいものではなく、むしろA・V・ダイシ‐が述べていますように、「国法そのものと対決」つまり違反することは、革命に等しい行為になるということです。

 

 ちなみに法的確信とは、社会の一般の人々に共通する意識で、一定の法的問題についてその社会の慣習に従って解決される、という意味になります。

 

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