日考塾〜憲法とは即ち歴史である

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近代憲法の祖はイギリス憲法から

 イギリスの議院内閣制などのあり方について、君主制の国はもちろん共和制の国も影響を与えており、いわば“グローバルスタンダード”になります。

 

 イギリスは議会主権の国と言われます。主権が議会にあるとはどういうことかといえば、国王・貴族院・庶民院の三つの機関からなる「議会における国王」が、法的意味における主権を持ち、そこではいかなる内容の法も定めることができ、「男を女にすること以外は何でも出来る」という格言があるぐらいです。

 

 議会が主権を持つ所以としては、イギリスにおける伝統的な国王、そして貴族院においては名門の世襲貴族や聖職者など、庶民院においてはイギリスの選挙によって選ばれた議員が集まっています。つまり議会の同意とは、王国の「すべての人々の同意」と見なされることになります。モンテスキューの「法の精神」は、イギリスの三権分立に就いて説明している有名な本になりますが、実際には日本と同じ、庶民院における多数党の党首が首相となり、内閣を組織し行政を取り仕切ることになります。また貴族院においては、ブレア政権時代の改革で現在は変わってしまいましたが、貴族院議長の役割を持つ大法官という役職があり、これは貴族院議長だけではなく、日本で言えば最高裁長官、内閣法制局長官の役割も持つ役職であり、宮中席次においても第2位という権威ある存在で、首相よりも上になります。

 

 続いてイギリス憲法になります。まずイギリスの成文憲法(English Constitution)はありません。あるのは議会を柱とする、憲法的英国歴史(Constitutional History of England)になります。そして憲法典とは何かでもお話していますが、イギリスにおける憲法(constitutional law)には、憲法的法規(law of the constitution)憲法的習律(convention of the constitution)に区別されています。

 

 憲法的法規とは、イギリスのマグナ・カルタ、権利請願、権利章典、議会法や王位継承法などが当てはまり、マグナ・カルタのような古い憲法的法規をいかに現在のイギリスの政治に合わせていくか、そのために憲法的習律があります。
 憲法的習律とは、例えばイギリスの首相は庶民院議員でなければならない(1902年)ことや、国王は庶民院多数党党首を首相に任命すること、議会が可決した法律案を国王は拒否しないことなどがあります。

 

 これがイギリス憲法となります。これらは歴史の中で、国民の権利尊重、民選議院、司法権の独立が成立することになりました。それを成文化して各国の憲法に今でも反映されていることから、近代憲法の祖になります。

 

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