日考塾〜憲法とは即ち歴史である

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イギリス議会開会式を見る

 現在のイギリス議会の開会式において、歴史を忘れないという所から慣例があります。それは1642年にチャールズ1世が予告なしに庶民院議員5名を逮捕するために、庶民院に使者を使わせた時の出来事を再現しています。これは、国王といえども、下院である庶民院には許可なく立ち入ることは出来ないことを示しています。

 

 まずイギリスの議会は、女王陛下が召集し、開会式は貴族院で行われます。開会式の内容としては、上院である貴族院から女王の使者として黒い杖(ブラックロッド)を持ち、閉じている庶民院の扉を3度叩いて、開けてもらわなければならない。下院議長に「議長、女王陛下が貴族院において庶民院議員に直接話をしたいと命令されました」女王の使者(ブラックロッド)と下院議長が移動し、議長の杖も運び出され、その後庶民院議員が貴族院に向かいます。この儀式は、官僚組織が議会とは独立しているということを示す。

 

 下院議長を始め庶民院議員が貴族院に集まり、女王の演説が始まります。イギリスにおける宮中席次第2位である大法官(貴族院議長)が女王に原稿を渡します。ちなみに宮中席次第1位はカンタベリー大司教になります。また上院議員はローブを着用し着席して聞くが、下院議員は首相に至るまで平服で原則、起立姿勢で聞くことになります。女王に渡す原稿は、政権与党が書き上げた施政方針演説であり、女王が読み上げることになります。読み上げた後は、施政方針についての審議が両院で行われ、最後に下院で議決が行われることになります。これが事実上の政権信任投票の役割を果たします。

 

 なお、国王チャールズ1世が議会により処刑された経緯がありますので、女王が議会に赴く際には庶民院議員1名が人質となり、バッキンガム宮殿に滞在するという慣習もあります。こちらも儀礼的な慣習ですが、この慣習によってベテランの議員1名は登院せず、宮殿においてテレビで演説を視聴し、女王が帰城するまで宮殿に留まることになっています。

 

 イギリスは歴史を忘れないために、慣習として行っているものが多くあります。この開会式もその慣習になります。

 

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