日考塾〜憲法とは即ち歴史である

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高辻正巳という人物

高辻正巳という人物

 

 高辻正巳という人物
戦後の内閣法制局で間違いなく、「戦後体制」を政府の側から創り上げた人といえる人物になります。
内閣法制局という組織自体、戦前の枢密院がなくなったため、鬼門となる機関がなく、
まさに誰も何も言えない機関になります。

 

 それは例えば、大蔵省主計局の村上孝太郎官房長が、単年度予算制度を複数年度制に進めようとして、
憲法違反ということで、跳ね返しました。
内閣法制局長官退任後、1973年4月に最高裁判事に任命され、
在任中の1978年7月12日、「国有農地等の売払いに関する特別措置法」を違憲とする民事事件が発生しました。
その際に高辻最高裁判事は、他の判事同様に「違憲立法とは言えない」と合憲判決を出しましたが、
意見を述べるときに、昭和46年1月20日の農地法施行令十六条に関する違憲判決に言及し、当時出した最高裁の違憲判決を間違いとして断定しています。

 

 憲法第9条における解釈につきましては以下のようになります。

 

衆 - 予算委員会 - 6号
昭和39年12月04日
○高辻政府委員 前段は法律問題でございますので、私からお答えさしていただきます。日本国憲法の九十八条だったと思いますが、確立された国際法規というものは誠実に遵守しなければならぬという規定が特にございます。確立された国際法規、いわゆる国際慣習法といいますか、そういうものは実は憲法との間に抵触関係はない。憲法は一国の最高法規でございますが、その一国というものは実は国際社会に存立しておるわけでございますから、その国際慣習法ともいうべき確立された国際法規とは抵触を生ずるはずはないという考えでございます。ただし、一国と一国が結ぶような特別の条約、御指摘の部分はそういうものが含まれているのだと思いますが、そういうものにつきましては、憲法はやはりそれに優先する。ただし、憲法以下の法律は、条約に矛盾すれば条約のほうが優先するという考えでございます。したがって、現実には何が確立された国際法規であるかという解釈問題に結局変わってまいります。

 

 国際慣習法とは、国際社会における歴史的に積み重ねられた法的確信があるものになります。
例えば、大使と公使という役職があります。これは、公使の上に大使になるのは、国際慣習法によって決まっているものであり、
日本では大使より公使の方が上位の役職になると言われても、通じない話であり、
むしろ国際慣習法を無視する野蛮な国と言われても仕方がないという意味合いにもなります。
しかし高辻長官は、「憲法との間に抵触関係はない」、「現実には何が確立された国際法規であるかという解釈問題」と述べています。
つまり日本国憲法と国際慣習法で抵触関係にあるかどうかは解釈問題であるということ、
その解釈をするのは政府の有権解釈であり、それを掌るのは内閣法制局であり、時の長官である高辻正巳氏になるというわけです。

 

 「同局(内閣法制局)の法律上の意見の開陳は、法律的良心により是なりと信ずるところに従ってすべきであって、時の内閣の政策的意図に盲従し、何が政府にとって好都合であるかという利害の見地に立ってその場をしのぐというような無節操な態度ですべきではない。そうであってこそ,内閣法制局に対する内閣の信任の基礎があり、その意見の権威が保たれるというものであろう。」
高辻正己「内閣法制局のあらまし-再建20周年に寄せて-」(『時の法令』1968年8月3日号)P42

 

 その後民間起用ということで、
竹下内閣の法務大臣として起用されるということもありました。
まさに中世のローマ教皇全盛時代のインノケンティウス3世のような人物であり、
「教皇は太陽。皇帝は月」といえることを行っていた人になります。
どうしてもやり玉に挙げられますのは政治家であり国会議員になりますが、
官僚において、このような行動をしている人もいるという事は、覚えて頂きたい所になります。

 

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