祭祀に関する政府解釈

 

日本国憲法

はじめに

 

内閣法制局が作り上げた祭祀に関する政府解釈をご紹介します。

 

このページの目次

 


 

践祚に関する政府解釈

 

日本国憲法下において践祚の概念がないとのことです。

まず皇室典範第4条に「直ちに即位」とありますが、これが践祚の概念になります。

 

実際に、この時に剣璽渡御の儀も行われています。
そして皇室典範第24条の「即位の礼」が歴史上でいうところの即位の概念になります。
また、大嘗祭については憲法第7条の「儀式を行ふこと」にも該当出来ないため政府としてやらないという解釈になります。


第87回国会常会衆議院内閣委員会7号16頁
昭和54(1979)年4月17日 真田 秀夫 内閣法制局長官
 現行の制度で申しますと、践祚という概念が実はないわけなんでして、先ほどお読みになりました皇室典範の第四条で「皇嗣が、直ちに即位する。」ということと、それからいま一つ条文といたしましては、皇室典範第二十四条に「皇位の継承があったときは、即位の礼を行う。」という規定がございます。この「即位の礼を行う。」という場合の即位の礼は、憲法の規定に照らせば、憲法第七条の国事行為の末号にある「儀式を行ふこと。」という儀式に入るのだろうと思いますが、践祚という概念はもうございません。
 それから、大嘗祭については現在もう規定はないというふうにお考えになって結構だと思います。

 

大嘗祭に関する政府解釈

 

大嘗祭は神式の儀式になるため憲法第20条第3項によって許されないと答弁しています。

つまり政教分離の原則に基づいて、政府として神式の儀式は出来ないということです。


第87回国会常会衆議院内閣委員会7号16頁
昭和54(1979)年4月17日 真田 秀夫 内閣法制局長官
 皇位の継承に伴いましていろいろな儀式をおやりになるでしょう。そのうち、国事行為として行われる部分と、それから天皇家といいますか皇室の行事として行われる分と、それは分けてわれわれ考えているわけなんです。
 それで、大嘗祭につきましては、これはもう少しせんさくしてみなければわかりませんが、従来の大嘗祭の儀式の中身を見ますと、どうも神式でおやりになっているようなので、それは憲法二十条第三項の規定がございますので、そういう神式のもとにおいて国が大嘗祭という儀式を行うことは許されないというふうに考えております。それは別途皇室の行事としてあるいはおやりになるかどうか、それは政府の方ではというか、私の方では実は直接関係がございませんので、もし御疑問でございましたならば、それは宮内庁の方にお尋ねをしていただきたいと思うわけでございます。

 

葬送儀礼に関する政府解釈

 

大喪の礼は、憲法第7条第10号に基づいて国費を支出しています。

また国民的敬弔の対象となるため、公的な性格を持っているため、国費の支出が憲法第20条第3項や憲法第89条に違反するものではないと答弁しています。


第114回国会常会衆議院内閣委員会2号4頁
平成元(1989)年2月10日 味村 治 内閣法制局長官
 まず、大喪の礼の費用でございますが、この大喪の礼は国の儀式でございまして、憲法二十条第三項の禁止しているような宗教的活動に当たらないようになっておりますので、これに国費を支出することには問題がない、このように考えております。
 次に、皇室におかれます昭和天皇の御葬儀に関しますもろもろの支出でございますが、これは皇室の行事として行われるわけでございますが、天皇が崩御されました場合には、天皇は日本国の象徴でございますし、日本国民統一の象徴でもございます。そういう地位を持っておられる方でございますから、天皇の御葬儀はたとえ皇室が行われるものでございましても、国民的敬弔――敬弔と申しますのは謹んで弔うということでございますが、国民的敬弔の対象として公的性格を持っているわけでございます。
 先ほど御指摘の憲法二十条第三項、これにつきましては昭和五十二年七月十三日の津地鎮祭に関する最高裁判決がございます。さらに、昨年の六月一日、同じ趣旨の最高裁の判決が出ております。私どもは、この判決の趣旨に従い判断いたしまして、このような国費の支出は憲法二十条三項の禁止する宗教的活動には当たらない、このように考えている次第でございますし、さらに御指摘になりました憲法八十九条の宗教上の組織または団体への支出、これも、先ほど申し上げましたように皇室の御葬儀というのは国民的敬弔の対象でございますので、いわば公的な性格を持っておりますから、そのような憲法八十九条の禁止するような支出には当たらない、このように考えている次第でございます。

 

大喪の礼は国の儀式、葬場殿の儀は皇室の行事として行われるとのことです。

そのためこの時に古川貞二郎内閣首席参事官の発明による移動式鳥居を使って大喪の礼の際には、鳥居を動かし、葬場殿の儀において鳥居を設置して行われました。


第114回国会常会衆議院内閣委員会2号4頁
平成元(1989)年2月10日 小渕 恵三 内閣官房長官
 大喪の礼の御式は国の儀式として行われ、葬場殿の儀は皇室の行事として行われることは、ただいま申し上げたとおりでございますが、両儀は法的に明確に区別されるのみならず、実際上も、大喪の礼御式におきましては、一、開式を告げること、二、祭官は退席すること、三、鳥居を撤去すること、四、大真榊を撤去すること等とされており、両儀ははっきり区別をされてまいるものだ、こういうふうに考えております。

 
この記事はお役に立ちましたでしょうか。 この記事が誰かの役に立ちそうだと感じて頂けましたら、下のボタンから共有をお願い致します。     このエントリーをはてなブックマークに追加  
昭和12年学会
ページの先頭へ戻る