天皇陛下お誕生日に際し(抜粋)

 

平成30(2018)年12月20日

宮内記者会代表質問

問 天皇陛下として迎えられる最後の誕生日となりました。陛下が皇后さまとともに歩まれてきた日々はまもなく区切りを迎え、皇室は新たな世代が担っていくこととなります。現在のご心境とともに、いま国民に伝えたいことをお聞かせ下さい。

 

 私は即位以来、日本国憲法の下で象徴と位置付けられた天皇の望ましい在り方を求めながらその務めを行い、今日までを過ごしてきました。譲位の日を迎えるまで、引き続きその在り方を求めながら、日々の務めを行っていきたいと思います。

 

 明年4月に結婚60年を迎えます。結婚以来皇后は、常に私と歩みを共にし、私の考えを理解し、私の立場と務めを支えてきてくれました。また、昭和天皇を始め私とつながる人々を大切にし、愛情深く3人の子供を育てました。振り返れば、私は成年皇族として人生の旅を歩み始めて程なく、現在の皇后と出会い、深い信頼の下、同伴を求め、爾来この伴侶と共に、これまでの旅を続けてきました。天皇としての旅を終えようとしている今、私はこれまで、象徴としての私の立場を受け入れ、私を支え続けてくれた多くの国民に衷心より感謝するとともに、自らも国民の一人であった皇后が、私の人生の旅に加わり、60年という長い年月、皇室と国民の双方への献身を、真心を持って果たしてきたことを、心から労いたく思います。

 

 そして、来年春に私は譲位し、新しい時代が始まります。多くの関係者がこのための準備に当たってくれていることに感謝しています。新しい時代において、天皇となる皇太子とそれを支える秋篠宮は共に多くの経験を積み重ねてきており、皇室の伝統を引き継ぎながら、日々変わりゆく社会に応じつつ道を歩んでいくことと思います。

 

平成25(2013)年12月18日

宮内記者会代表質問

問3 今年は五輪招致活動をめぐる動きなど皇室の活動と政治との関わりについての論議が多く見られましたが、陛下は皇室の立場と活動について、どのようにお考えかお聞かせ下さい。

 

 日本国憲法には「天皇は、この憲法の定める国事に関する行為のみを行ひ、国政に関する権能を有しない。」と規定されています。この条項を遵守することを念頭において、私は天皇としての活動を律しています。
 しかし、質問にあった五輪招致活動のように、主旨がはっきりうたってあればともかく、問題によっては、国政に関与するのかどうか、判断の難しい場合もあります。そのような場合はできる限り客観的に、また法律的に、考えられる立場にある宮内庁長官や参与の意見を聴くことにしています。今度の場合、参与も宮内庁長官始め関係者も、この問題が国政に関与するかどうか一生懸命考えてくれました。今後とも憲法を遵守する立場に立って、事に当たっていくつもりです。

 

平成24(2012)年12月19日

宮内記者会代表質問

問3 陛下は心臓手術後も以前と変わらないペースで公務に取り組まれていますが、来年80歳となられるのを機に一層のご負担軽減が必要との指摘があるほか、一定の年齢に達すれば、陛下には国事行為に専念、あるいは国事行為と最小限の公的行為だけなさっていただき、それ以外は皇族方が分担するという考え方を取り入れるべきとの意見も出ています。現行制度のままでは陛下のご活動をお支えする皇族方が減ってしまう現状の下で、今後のご公務に関する皇族方との役割分担についてどのようにお考えでしょうか。

 

 天皇の務めには日本国憲法によって定められた国事行為のほかに、天皇の象徴という立場から見て、公的に関わることがふさわしいと考えられる象徴的な行為という務めがあると考えられます。毎年出席している全国植樹祭や日本学士院授賞式などがそれに当たります。いずれも昭和天皇は80歳を越しても続けていらっしゃいました。負担の軽減は、公的行事の場合、公平の原則を踏まえてしなければならないので、十分に考えてしなくてはいけません。今のところしばらくはこのままでいきたいと考えています。私が病気になったときには、昨年のように皇太子と秋篠宮が代わりを務めてくれますから、その点は何も心配はなく、心強く思っています。

 

平成17(2005)年12月19日

宮内記者会代表質問

問3 皇室典範に関する有識者会議が、「女性・女系天皇」容認の方針を打ち出しました。実現すれば皇室の伝統の一大転換となります。陛下は、これまで皇室の中で女性が果たしてきた役割を含め,皇室の伝統とその将来についてどのようにお考えになっているかお聞かせください。

 

 皇室の中で女性が果たしてきた役割については私は有形無形に大きなものがあったのではないかと思いますが、皇室典範との関係で皇室の伝統とその将来についてという質問に関しては、回答を控えようと思います。
 私の皇室に対する考え方は、天皇及び皇族は、国民と苦楽を共にすることに努め、国民の幸せを願いつつ務めを果たしていくことが、皇室の在り方として望ましいということであり、またこの在り方が皇室の伝統ではないかと考えているということです。
 女性皇族の存在は、実質的な仕事に加え、公的な場においても私的な場においても、その場の空気に優しさと温かさを与え、人々の善意や勇気に働きかけるという、非常に良い要素を含んでいると感じています。その意味でも皇太子妃の健康が現在徐々に快方に向かっていることは喜ばしく、一層の回復を待ち望んでいます。

 

平成12(2000)年12月20日

宮内記者会代表質問

問1 この一年と今世紀を振り返って、印象に残られた出来事と、それぞれに対する感想をお聞かせください。

 

 今世紀の印象に残る出来事としては、まず、2度にわたって世界大戦が戦われたということが挙げられると思います。特に第二次世界大戦は、軍人のほかに非常に多くの一般の人々が犠牲になった痛ましい戦いでした。前世紀と異なり人類の大量殺戮が行われることになったことは、今世紀の科学技術の進歩と決して無縁ではないと思います。しかし、一方で科学技術の進歩は、人々の生活を豊かにし、数々の恩恵を人々にもたらしていることも事実です。科学技術を、人類に不幸をもたらすことなく、人類全体のために役立てるよう発展させていくことが、今後、科学技術に携わる人々に対して切に求められるところだと思います。

 

 ベルリンの壁の崩壊と、それに続くソビエト連邦諸国の独立も、今世紀における印象深い出来事であったと思います。この出来事により、戦後から長く続いた冷戦が終焉し、それまで秘密に覆われ、他からうかがい知ることのできなかった世界の大きな部分が外に開かれました。世界の多くの国々が、互いに理解し、交流し合える基盤がこのようにして作られたことは、極めて意義深いことであったと思います。平和な国際関係も良好な地球環境も、このような基盤があって達成されていくものと考えます。

 

 日本に関することでは、今世紀の前半は、その初期に日露戦争が戦われ、末期に第二次世界大戦が終わるという繁(しげ)く戦争の行われた時代でした。私の記憶がはっきりしてくるのは、第二次世界大戦に日本が加わってからのことです。平和条約の発効は、私にとって喜びとともに深く心に残るものでありました。ちょうどこの時に私は18才に達していましたので、成年皇族としての最初の務めがここから始まったからです。それは、新たに着任した大使と会う行事でした。日本が独立して国際社会に加わったことを実感しました。

 

 沖縄返還も印象深い出来事でした。日本への復帰を願いつつ、20年間もその実現を待たなければならなかった沖縄県の人々の気持ちを、忘れてはならないと思います。深夜に行われた返還式の映像が、このことを思うと思い起こされてきます。

 

関連質問

問 今世紀を振り返るというお答えがございました。いろんな出来事を挙げられましたけれども、同時にこの100年というのは、皇室にとっても大きな変化、動きがございました。この100年の皇室の動き・変化をどのようにご覧になっていらっしゃるか、また同時に、21世紀に向けての皇室の在り方についてお考えをお聞かせいただきたいと存じます。陛下はこれまでも、折に触れて、そのようなお考えを述べていらっしゃいますけれども、世紀末ということで改めてここでお考えをお聞かせいただければと存じます。

 

 ちょうど今世紀の始まりというと、明治34年になると思います。ちょうど昭和天皇のお生まれになった年です。この時には、もう大日本帝国憲法はできていますし、それに沿って、皇室の在り方は規定されていたことと考えます。また、外国との交際も非常に皇室としては、重視しておりましたし、明治天皇の御製にも「とつくに(外国)とむつみかわす」というのがよくありますが、そのような明治天皇のお気持ちであったと思います。そして、翌年には、日英同盟が成立しています。このようなことから考えて、昭和の初めまでは、各国との親善関係を結んでいき、そして、国内的には憲法を守っていくということが皇室の在り方であったと考えます。その後、日本の方向は、その方向とは離れたものになっていき、昭和天皇の非常にご苦労の多かった時代が続くわけです。本当に先ほども言いましたように、今世紀の前半は、戦争の多い時でしたし、昭和の初めはずっと戦争で明け暮れていた時代になります。戦後は、新しい憲法の下で、皇室の在り方も象徴ということで違ってはきてましたが、国民に対する気持ちとしては変わらないものであったと思います。これは古くからの歴代天皇の国民に対する気持ちと同じことではないかと思っています。

 

 皇室の在り方としては、この象徴ということを常に心にとどめ、どうあれば象徴としてふさわしいかということを求めていくということだと思っています。したがって、今後ともその点においては変わらないことだと考えています。

 

平成10(1998)年12月18日

宮内記者会代表質問

問2 平成になって10年、昭和の時代と比べて天皇としての活動の在り方も変わってきたようにお見受けいたしますが、御自身では、どんな点をどのような思いから変えてきたとお考えでしょうか。さらに今後,国民の期待をどう受け止め、どのような形でこたえていきたいとお考えでしょうか。

 

 日本国憲法で、天皇は日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であると規定されています。この規定と、国民の幸せを常に願っていた天皇の歴史に思いを致し、国と国民のために尽くすことが天皇の務めであると思っています。天皇の活動の在り方は、時代とともに急激に変わるものではありませんが、時代とともに変わっていく部分もあることは事実です。私は、昭和天皇のお気持ちを引き継ぎ、国と社会の要請、国民の期待にこたえ、国民と心を共にするよう努めつつ、天皇の務めを果たしていきたいと考えています。

 

関連質問

問2 「昭和天皇のお気持ちを引き継ぎ」という言葉がありましたが、もうすぐ陛下にあらせられましては御在位10年という節目の年を迎えられるというですけれども、昭和天皇が崩御されてから、また、10年という年でもございます。この時に当たりましてですね、改めて昭和天皇のことに対してですね、何かこう、思いを深められましたことがございましたら、あるいは10年たってようやく分かったとかですね、そういうお気持ちがございましたらお示しいただけませんでしょうか。

 

 昭和天皇のことは、いつも深く念頭に置き、私も、このような時には「昭和天皇はどう考えていらっしゃるだろうか」というようなことを考えながら、天皇の務めを果たしております。やはり、今も質問にありましたように、天皇になってから昭和天皇のお気持ちが分かったというようなものもあります。

 

皇太子殿下お誕生日に際し(抜粋)

 

平成30(2018)年2月21日

宮内記者会代表質問

問1 天皇陛下が来年4月30日に退位され、殿下は同年5月1日に即位されることが決まりました。率直な受け止めとともに、皇太子としての残りの期間、どのようなことに重きを置いて過ごされたいとお考えかお聞かせください。退位日が決まった陛下とはどのようなお話をされましたか。

 

 昨年の誕生日会見でもお話ししたとおり、陛下のビデオメッセージを厳粛な思いで拝見いたしましたし、陛下のお考えを真摯に重く受け止めております。また、長きにわたり、両陛下が一つ一つの行事を大切に思われ、真摯に取り組まれるお姿を間近に拝見してまいりましたので、「天皇の退位等に関する皇室典範特例法」の施行日が決まったことを受け、改めて、両陛下のこれまでの歩みに思いを致すとともに、深い感慨と敬意の念を覚えております。
 今後とも、両陛下の御公務に取り組まれる御姿勢やお心構え、なさりようを含め、そのお姿をしっかりと心に刻み、今後私自身が活動していくのに当たって、常に心にとどめ、自己の研鑽に励みつつ、務めに取り組んでまいりたいと思います。
 また、昨年は、三條天皇、伏見天皇、後陽成天皇の三方の歴代天皇が崩御されてから、それぞれ、1000年、700年、400年という年に当たり、式年祭が行われた関係で、各天皇の御事蹟を伺う機会があったほか、秋に訪れた醍醐寺では、後奈良天皇を始め、多くの宸翰を拝見することができました。私としては、こうした、過去の天皇が人々と社会を案じつつ歩まれてきた道を振り返る機会も大切にしていきたいと思います。
 陛下とは、以前より折に触れ、お考えを伺ったり、あるいはお話し合いをさせていただいております。具体的な内容についてここで述べるのは控えますが、そうした機会は大変有意義なものであり、とても有り難いことと思っております。
 昨年は、陛下の名代としてアジア冬季競技大会の開会式に出席しましたが、少しでもお役に立つことがあれば、喜んでできる限りのお手伝いをしてまいりたいと思います。両陛下には、今後とも、くれぐれもお体を大切になさり、末永くお元気でいらっしゃることを心よりお祈りしております。

 

問2 次代の象徴天皇としての抱負についてお伺いします。殿下はこれまでも「時代に即した新しい公務」についての考えを語られてきましたが、新しい時代の天皇、皇后の在り方をどのようにお考えでしょうか。

 

 象徴天皇、そして、公務の在り方については、これまでも陛下が繰り返し述べられていますように、また、私自身もこの場でお話ししていますように、過去の天皇が歩んでこられた道と、そしてまた、天皇は日本国、そして日本国民統合の象徴であるという憲法の規定に思いを致して、国民と苦楽を共にしながら、国民の幸せを願い、象徴とはどうあるべきか、その望ましい在り方を求め続けるということが大切であると思います。
 そして、そのためには、普段の活動の中で、できるだけ多くの人々と接する機会を作ることが大切であると思います。そういう考え方は変わっておりません。陛下がおことばの中で述べられたように、「時として人々の傍らに立ち、その声に耳を傾け、思いに寄り添うこと」が大切であり、私も雅子と共に行った被災地視察や地方訪問の折には、なるべく多くの国民の皆さんとお話しができればと思い、これらの機会を大切にしてまいりました。そして、今後とも、そのように心掛けていきたいと思います。
 新しい時代の天皇、皇后の在り方ということについては、冒頭にも述べたとおり、両陛下も大事にされてきた皇室の長く続いた伝統を継承しながら、現行憲法で規定されている「象徴」としての天皇の役割をしっかりと果たしていくことが大切だと考えています。そして、象徴としての在り方を求めていく中で、社会の変化に応じた形でそれに対応した務めを考え、行動していくことも、その時代の皇室の役割だと思います。「時代に即した新しい公務」についても、この点を述べたものであり、将来にわたり生じる日本社会の変化に応じて公務に対する社会の要請も変わってくることになると思いますし、そういった社会の新しい要請に応えていくことは大切なことであると考えております。以前、私は、水の問題や環境問題、子どもや高齢者を取り巻く状況などに触れましたが、それらに限らず、今後も、新たな公務に対する社会の要請は出てくると思いますので、そうした公務に真摯に取り組んでまいりたいと思います。
 同時に、世界各国との相互理解を深めていくことも大切であると思いますので、文化交流や国際親善の面でもお役に立てればと思います。
 こうした考えについては、日頃から雅子とも話し合っており、将来の務めの在り方についても話し合ってきております。

 

問4 お代替わりや皇族の減少を踏まえ、今後の公務の分担について天皇陛下や秋篠宮さまとどのようなお話をされているかお聞かせください。天皇と上皇が併存することによる「二重権威」を危惧する意見も聞かれますが、殿下はどのようにお考えでしょうか。

 

 公務の在り方については、先ほども申しましたが、折に触れ、いろいろな機会に、私、そして秋篠宮も、陛下のお考えを伺ったり、あるいは意見交換をさせていただいており、大変有意義な機会を頂戴していることに感謝しております。
 具体的にどのような場で、どういうことを話しているかについては、その詳細を申し上げることは控えますが、陛下御自身がお考えになられていること、あるいは、これまで経験されてきたことなどをお話しくださるので、私としても学ぶことも多く、また、大変有り難いことだと思っております。
 また、秋篠宮とも、公務の在り方を含め、様々な事柄について話し合う機会がありますし、今後ともこのような機会を持っていきたいと思います。
 陛下には、皇后陛下と御一緒に、国内外の各地に足を運ばれ、多くの人々とお会いになり、真摯に御公務に取り組んでこられました。そのようなお姿を拝見してきた多くの国民から、両陛下が敬愛を受け続けられることは、自然なことであると思います。私としましても、まさに陛下が全身全霊をもって象徴の務めを果たしてこられたように、今後受け継がせていただく公務をしっかりと受け止め、その一つ一つに真摯に取り組んでいく考えです。

 

平成29(2017)年2月21日

宮内記者会代表質問

問1 天皇陛下は昨年8月に公表された象徴の務めに対するおことばで、即位後に象徴天皇としてご自身が歩まれてきた道や、高齢となった天皇の在り方についてお考えを表明されました。表明に至るまで、殿下は天皇陛下のお考えをいつ、どのような形でお聞きになり、表明されたおことばをどのように受け止められましたか。今後、天皇、皇后両陛下にどのようにお過ごしになっていただきたいかという点もお聞かせください。

 

 昨年8月8日の天皇陛下のおことばを、私は、愛知県での公務を終えた後の名古屋駅で厳粛な思いで伺いました。天皇陛下のお考えをいつ、どのような形でお聞きしたか、というお尋ねについては、何か特別な場でそういったお話があったというわけではありませんし、私自身は折に触れて陛下のお考えを直接お聞かせいただいたり、あるいは、そのお姿やお話しぶりから推し量ることもございましたので、明確にいつどの機会にどういった形でということを申し上げるのは難しいと思います。

 

問2 政府が設置した有識者会議で象徴天皇の在り方について議論が重ねられており、国民の関心も高まっています。次期皇位継承者である殿下ご自身は象徴天皇とはどのような存在で、その活動はどうあるべきとお考えでしょうか。殿下が即位されれば皇后となられる雅子さまの将来の務めについて、お二人でどのようなお話をされておられますか。

 

 象徴天皇については、陛下が繰り返し述べられていますように、また、私自身もこれまで何度かお話ししたように、過去の天皇が歩んでこられた道と、そしてまた、天皇は日本国、そして日本国民統合の象徴であるという憲法の規定に思いを致して、国民と苦楽を共にしながら、国民の幸せを願い、象徴とはどうあるべきか、その望ましい在り方を求め続けるということが大切であると思います。
 陛下は、おことばの中で「天皇の務めとして、何よりもまず国民の安寧と幸せを祈ることを大切に考えて来ましたが、同時に事にあたっては、時として人々の傍らに立ち、その声に耳を傾け、思いに寄り添うことも大切なことと考えて来ました」と述べられました。私も、阪神淡路大震災や東日本大震災が発生した折には、雅子と共に数度にわたり被災地を訪れ、被災された方々から直接、大切な人を失った悲しみや生活面での御苦労などについて伺いました。とても心の痛むことでしたが、少しでも被災された方々の痛みに思いを寄せることができたのであればと願っています。また、ふだんの公務などでも国民の皆さんとお話をする機会が折々にありますが、そうした機会を通じ、直接国民と接することの大切さを実感しております。
 このような考えは、都を離れることがかなわなかった過去の天皇も同様に強くお持ちでいらっしゃったようです。昨年の8月、私は、愛知県西尾市の岩瀬文庫を訪れた折に、戦国時代の16世紀中頃のことですが、洪水など天候不順による飢饉や疫病の流行に心を痛められた後奈良天皇が、苦しむ人々のために、諸国の神社や寺に奉納するために自ら写経された宸翰般若心経のうちの一巻を拝見する機会に恵まれました。紺色の紙に金泥で書かれた後奈良天皇の般若心経は岩瀬文庫以外にも幾つか残っていますが、そのうちの一つの奥書には「私は民の父母として、徳を行き渡らせることができず、心を痛めている」旨の天皇の思いが記されておりました。災害や疫病の流行に対して、般若心経を写経して奉納された例は、平安時代に疫病の大流行があった折の嵯峨天皇を始め、鎌倉時代の後嵯峨天皇、伏見天皇、南北朝時代の北朝の後光厳天皇、室町時代の後花園天皇、後土御門天皇、後柏原天皇、そして、今お話しした後奈良天皇などが挙げられます。私自身、こうした先人のなさりようを心にとどめ、国民を思い、国民のために祈るとともに、両陛下がまさになさっておられるように、国民に常に寄り添い、人々と共に喜び、共に悲しむ、ということを続けていきたいと思います。私が、この後奈良天皇の宸翰を拝見したのは、8月8日に天皇陛下のおことばを伺う前日でした。時代は異なりますが、図らずも、2日続けて、天皇陛下のお気持ちに触れることができたことに深い感慨を覚えます。
 私がここ10年ほど関わっている「水」問題については、水は人々の生活にとって不可欠なものであると同時に洪水などの災害をもたらすものです。このように、「水」を切り口として、国民生活の安定、発展、豊かさや防災などに考えを巡らせていくこともできると思います。私としては、今後とも、国民の幸せや、世界各地の人々の生活向上を願っていく上での、一つの軸として、「水」問題への取組を大切にしていければと思っております。
 また、私のこうした思いについては、日頃から雅子とも話をしてきており、将来の務めについても話し合っていきたいと考えております。

 

問4 皇族方の減少や高齢化が進む中、皇室の現状や将来の在り方についてどのようにお考えでしょうか。両陛下の負担軽減や皇族方による公務の引継ぎ、分担についての殿下のお考えもお聞かせください。

 

 皇室の現状についての御質問ですが、男性皇族の割合が減り、高齢化が進んでいること、また、女性皇族は結婚により皇籍を離れなければならないということを前提とした場合に、皇族が現在行っている公務をどのように引き継ぎ、どう分担していくべきかという点は、将来の皇室の在り方とも関係し、大切な問題であると思います。そして、皇室の将来の在り方に関しては、私は、以前にも申しましたけれども、その時代時代で新しい風が吹くように、皇室の在り方もその時代時代によって変わってきていると思います。過去から様々なことを学び、古くからの伝統をしっかりと引き継いでいくとともに、それぞれの時代に応じて求められる皇室の在り方を追い求めていきたいと考えております。
 公務の引継ぎや分担につきましては、お仕事の一つ一つを心から大切にしてこられた陛下のお気持ちを十分に踏まえながら、私を始め、皇族が適切に役割を担っていくことが重要であると思います。一昨年から、こどもの日と敬老の日にちなんでの施設訪問を両陛下から秋篠宮と共に受け継がせていただきましたし、昨年は、小中学校長の拝謁及び国際緊急援助隊・国際平和協力隊の接見を私が引き継がせていただくことになりました。また、昨日まで、陛下の名代として第8回アジア冬季競技大会の開会式に出席するため、北海道を訪れておりました。私としては、今後とも、引き継がせていただいた公務を大切に務めながら、少しでもお役に立つことがあれば、喜んでできる限りのお手伝いをしてまいりたいと思っています。
 なお、皇室の制度面の事柄については、私が言及することは控えたいと思います。

 

平成26(2014)年2月21日

宮内記者会代表質問

問3 天皇陛下は昨年傘寿を迎えられ、皇后さまも今年80歳を迎えられます。両陛下が始められた「こどもの日」と「敬老の日」にちなむ施設訪問は、来年から皇太子ご夫妻、秋篠宮ご夫妻に引き継がれることになりました。公務については、殿下は過去の記者会見で「時代に即した公務を考えていく必要がある」と述べられました。両陛下の公務を引き継がれるにあたってのお気持ちと、新しい公務に対するお考えをお聞かせください。

 

 公務についての考えにつきましては、以前にも申しましたけれども、過去の天皇が歩んでこられた道と、天皇は日本国、そして国民統合の象徴であるとの日本国憲法の規定に思いを致して、国民の幸せを願い、国民と苦楽を共にしながら、象徴とはどうあるべきか、その望ましい在り方を求め続けるということが大切であると思います。同時に、これまで行われてきている公務を踏まえつつ、将来にわたり生じる日本社会の変化に応じて、公務に対する社会の要請に応えていくことが、重要であると考えております。

 

問4 昨年は、皇室の活動と政治の関わりについての論議が多く見られました。天皇陛下は記者会見で、「問題によっては、国政に関与するのかどうか、判断の難しい場合もあります」と述べられました。殿下は、皇室の活動と政治の関わりについてどのようにお考えになっているのか、また心がけていることがあればお聞かせください。

 

 日本国憲法には「天皇は、この憲法の定める国事に関する行為のみを行ひ、国政に関する権能を有しない。」と規定されております。今日の日本は、戦後、日本国憲法を基礎として築き上げられ、現在、我が国は、平和と繁栄を享受しております。今後とも、憲法を遵守する立場に立って、必要な助言を得ながら、事に当たっていくことが大切だと考えております。

 

問5 宮内庁は昨年11月、天皇、皇后両陛下のご意向を受け、陵を従来よりも縮小し、400年ぶりに火葬を導入すると発表しました。殿下も了承されているとのことですが、この見直しについての殿下のお考えをお聞かせください。また、両陛下、秋篠宮さまとは、どのようなお話をされたのでしょうか。

 

 天皇陛下には、皇室の歴史の中に、御陵の造営や葬儀に関し、人々に過重な負担を課することを望まないとの考え方が古くよりあったことに思いを致され、御陵や御葬送全体についても、極力国民生活への影響の少ないものとすることが望ましいとのお気持ちをお持ちであり、同時に、これまで長きにわたる従来の皇室のしきたりはできるだけ変えずに、その中で今という時代の要請も取り入れていくことを心掛けていらっしゃいます。
 火葬の導入や御陵の縮小についてもこうしたお考えを踏まえたものであり、このような両陛下のお気持ちについては、以前より伺っており、私も秋篠宮も両陛下のお気持ちを尊重しておりますし、また、私も両陛下と同じように考えております。

 

平成25(2013)年2月21日

宮内記者会代表質問

問5 天皇陛下の心臓手術から1年が経ちました。陛下は昨年の会見で「しばらくはこのままでいきたい。病気になったときには、皇太子と秋篠宮が代わりを務めてくれますから、何も心配はなく、心強く思っています」と述べられました。今年80歳になられる陛下の公務の在り方についてどのようにお考えですか。手術前後やご回復の過程で、陛下や皇后さまとはどのようなお話しをされましたか。陛下は「天皇の務めには国事行為のほかに、公的に関わることがふさわしい象徴的な行為という務めがある」とも述べられましたが、将来天皇となられるお立場から、殿下ご自身は公務をどのようなものとお考えですか。

 

 陛下のご公務については、陛下ご自身が、昨年のお誕生日の記者会見に際して、「負担の軽減は、公的行事の場合、公平の原則を踏まえてしなければならないので、十分に考えてしなくてはいけません。今のところしばらくはこのままでいきたいと考えています。」と述べられています。このようにお仕事の一つ一つを心から大切にされている陛下のお気持ちを大切にしたいと考えますが、同時に、陛下のご年齢を考えますとご負担の軽減は必要と思われます。どのような形でご負担の軽減が可能なのか、ご出席になられる公的行事の数を大きく減らさないとしても、個々の行事のご負担を少なくする方法を考えるなど、周りがいろいろと考え、お助けしていくことは必要だと思います。私も、少しでもお役に立つことがあれば、喜んでお力になりたいと思います。天皇皇后両陛下には、ご公務で大変お忙しい日々を送っておられますので、くれぐれもお体を大切になさっていただきたいと思っております。
 また、公務についての考えにつきましては、以前にも申しましたが、過去の天皇が歩んでこられた道と、そしてまた、天皇は日本国、そして国民統合の象徴であるとの日本国憲法の規定に思いを致して、国民と苦楽を共にしながら、国民の幸せを願い、象徴とはどうあるべきか、その望ましい在り方を求め続けるということが大切であると思います。同時に、これまで行われてきている公務を踏まえつつ、将来にわたり生じる日本社会の変化に応じて、公務に対する社会の要請に応えていくことが、重要であると考えております。私としても、常に学ぶ姿勢を忘れずに、他人への思いやりの心を大切にしながら、世の中のためにできることを心掛けてやっていきたいと思っております。

 

関連質問

問1 第5問目に関連しまして、先ほど臨時代行について、陛下から温かいねぎらいのお言葉があったと述べられましたが、どういうお言葉だったのでしょうか、さらに、陛下とのコミュニケーションに関して、昨年、一昨年くらいから、御所で陛下と殿下と、また秋篠宮殿下と長官も入って、懇談をされていると伺っていますが、その際どういった話題が話されているのか、また、今お述べになられた象徴天皇の在り方について、例えば陛下から直接お考えをお聞きになるような場面があるのかなどについてお聞かせ願います。

 

 陛下からは、具体的には、臨時代行のお仕事本当にご苦労様でしたというような非常に温かいお言葉を頂戴いたしました。もちろん私は臨時代行を務めた後は、必ず陛下の所に伺って、臨時代行としてどのようなことを私が行ったかといった個々のことをご報告申し上げておりますので、それに対して、いろいろご質問もあったりしましたけれども、その後で本当にいろいろご苦労でしたということをおっしゃっていただいて、本当に私自身も大変うれしく思いました。また、陛下の所でのいろいろな話合いについては、発表事項では特にないので、細かいことは申し上げるつもりはありませんけれども、私、それから秋篠宮が折に触れて、陛下の所で、陛下のご意見を伺ったり、あるいはいろいろな意見交換をするということは、非常に私自身も大切なことだと思いますし、私自身も大変有意義な一時を過ごさせていただいております。最後の質問については、陛下と折に触れてご質問の象徴天皇の在り方について、具体的にどういうことを話しているかは申し上げられませんけれども、陛下ご自身がいろいろ思われていること、あるいは体験されてきたことなどをお話しくださるので、私としても本当にいろいろと参考にさせていただいておりますし、大変有り難いことだと思っております。

 

平成24(2012)年2月21日

宮内記者会代表質問

問3 女性皇族が結婚に伴い減っていくと予想されることから、政府が「女性宮家」制度の創設について検討を始めました。秋篠宮さまは昨年の記者会見で、議論の過程で、ご自身や皇太子殿下の意見を聞いてもらうことがあってよい、と発言なさっています。制度そのものは国会の論議に委ねられるお立場だと思いますが、ご家族の将来にもかかわる問題として、皇室の現状をどのようにとらえられ、両陛下や秋篠宮さまとどんな意見を交わされているでしょうか。ご自身が何らかの形で意見を伝える場が必要と思われているかどうかも合わせて教えてください。

 

 「女性宮家」に関して、政府が検討を始めたことや様々な意見が示されていることは承知しております。
 両陛下や秋篠宮とは様々な事柄につき話をする機会がありますし、秋篠宮の発言についても承知しております。私としても内親王の親としていろいろと考えることもありますが、この問題は、今まさに政府が検討を始めたばかりであり、今後、国会を始めいろいろな場で議論が行われることと思われますので、それ以上の発言は控えたいと思います。

 

関連質問

問2 定年制について、改めてお伺いいたします。ご高齢になられた天皇陛下に関して、ご負担の軽減という観点から、一定程度の年齢に達せられた場合、国事に関する行為のみにご専念いただきまして,他の公務については、皇太子殿下始め皇族方にご負担いただくという考え方、いわゆる定年制という考え方もあろうかと思いますけれども、それについての殿下のお考えなりをお聞かせ願えればと思います。
 先ほどもお話しいたしましたけれども、ご高齢になられた天皇陛下のご公務のご負担の軽減ということは、非常に大切な問題だと思いますし、またその方法をめぐっては、先ほども私はお話ししましたけれども、いろいろなことが考えられるのではないかと思います。そういったことを、これも繰り返しにはなりますけれども、陛下のご意志を尊重しながら、周りで一生懸命に、陛下にとりどのような形でご負担が軽減なされるかどうか検討することが、私は大切だと思います。そこにはいろいろな選択があるのではないかと思います。

 

平成18(2006)年2月21日

宮内記者会代表質問

問5 「皇室典範に関する有識者会議」が最終報告書を提出し、女性・女系天皇を容認する方針が示されました。今後の皇室のあるべき姿に関する考えや敬宮愛子様の将来について、父親としてのお気持ちをお聞かせください。

 

 「皇室典範に関する有識者会議」が最終報告書を提出したこと、そしてその内容については、私も承知しています。親としていろいろと考えることもありますが、それ以上の発言は控えたいと思います。皇室のあるべき姿としては、私は、以前から申し上げているように、皇室の伝統を尊重しながら、天皇陛下をお助けしつつ、国民の幸せを願い、国民と苦楽を共にしていくことだと思います。これは時代を超えて存在するものと思います。宮中で行われている祭祀については、私たちは大切なものと考えていますが、雅子が携わるのは、通常の公務が行えるようになってからということになると思います。
 愛子には、一人の人間として立派に育ってほしいと思います。名前の通りに、人を愛し、人からも愛される人間に成長してもらえればと願っております。

 

文仁親王殿下お誕生日に際し(抜粋)

 

平成30(2018)年11月22日

宮内記者会代表質問

問1 殿下にお伺いします。殿下は来年5月の代替わりに伴い、皇位継承順位第1位の皇嗣となられます。新たなお立場への抱負をお聞かせ下さい。公務の在り方や分担について新天皇となられる皇太子さまとどのような話し合いをされ、殿下がどのようにお考えになられているのか、あわせてお聞かせください。

 

 最初の抱負ということについてですけれども、私は今まであまり抱負ということは、語ることは、口に出して言うことはありません。ただ、何かの節目というよりも、折々にその抱負のようなものを考えることというのはあります。これは、抱負になるのかどうかは分かりませんけれども、これからも様々な公的な仕事をする機会があります。時として、例えば毎年のように行われているものなどについては、どうしても、前年度とか、その前の機会と同じようにすればいいと思いがちです。これは私自身もそうなんですけれども、やはり、それら一つ一つを、その都度その都度考えながら、自分の仕事、若しくは務めを、進めていくようにしたいと思っています。あと、公務そのものについては、これは、例えば、天皇が海外、外国訪問中とかには臨時代行ということをするわけですね。私は今までそれをしたことがありません。今の皇太子殿下は、昭和時代に一度その経験があるわけです。私はしたことがありませんけれども。今後はそういう機会は、必ず出てまいります。一方、公的な活動について、来年の5月以降、今まで皇太子殿下が行ってきたものというのが、今度は天皇になられると、それを併せてするということはできなくなります。一方、これは昨年のこの場でもお話をしましたが、私も自分で行っていることがあります。総裁とか名誉総裁をしているものもあります。それらをそっくり誰かに今度は譲る、引き渡すということ、これも、それを受ける先はありません。そのようなことから、今、宮内庁として考えていることは、一旦全て皇太子殿下のお仕事を宮内庁の方で引き取って、それを整理をして、それで次に私がどのものをその後行っていくか、というのを検討しているところです。おそらくそれはそう遠くないうちに、発表されるのではないかと思っています。また、在り方については、公的な活動については、今お話ししたようなことについての了解を皇太子殿下と取った、ということです。在り方というものについては、恐らく、今後もっといろいろ話をしていかなければいけないんでしょうけれども、分担というか、今の皇太子殿下と私のものというのは、ある程度こう今お話ししたように分かれるわけですが、例えば宮中で行われる行事等については、それは平成の時代にも、行い方が変わったり、今の両陛下が変えられたものもあるわけです。そういうものについては随時話合いを、既にしているものもありますが、(今後も)していく必要があろうかと考えています。

 

関連質問

問1 殿下にお尋ねいたします。お代替わりに関する日程や規模について、いろいろ宮内庁の方でも発表があり、決まりつつありますが、先ほど殿下には皇嗣となられる公務の在り方についてのお考えをお聞きしましたが、即位の行事や儀式についてもお考えがあればお聞かせいただきたく思います。

 

 行事、そういう代替わりに伴う行事で、いわゆる国事行為で行われる行事、それから皇室の行事として行われるものがあります。国事行為で行われるものについて、私が何かを言うことができるかというと、なかなかそういうものではないと思います。そういうものではないんですね。一方、皇室の行事として行われるものについてはどうか。これは、幾つかのものがあるわけですけれども、それについては、ある程度、例えば私の考えというものもあっても良いのではないかなと思っています。

 

 具体的にもし言うのであれば、例えば、即位の礼は、これは国事行為で行われるわけです、その一連のものは。ただ、大嘗祭については、これは皇室の行事として行われるものですし、ある意味の宗教色が強いものになります。私はその宗教色が強いものについて、それを国費で賄うことが適当かどうか、これは平成のときの大嘗祭のときにもそうするべきではないという立場だったわけですけれども、その頃はうんと若かったですし、多少意見を言ったぐらいですけれども。今回も結局、そのときを踏襲することになったわけですね。もうそれは決まっているわけです。ただ、私として、やはりこのすっきりしない感じというのは、今でも持っています。整理の仕方としては、一つの代で一度きりのものであり、大切な儀式ということから、もちろん国もそれについての関心があり、公的性格が強い、ゆえに国の国費で賄うということだと。平成のときの整理はそうだったわけですね。ただ、今回もそうなわけですけれども、宗教行事と憲法との関係はどうなのかというときに、それは、私はやはり内廷会計で行うべきだと思っています。今でも。ただ、それをするためには相当な費用が掛かりますけれども。大嘗祭自体は私は絶対にすべきものだと思います。ただ、そのできる範囲で、言ってみれば身の丈にあった儀式にすれば。少なくとも皇室の行事と言っていますし。そういう形で行うのが本来の姿ではないかなと思いますし、そのことは宮内庁長官などにはかなり私も言っているんですね。ただ、残念ながらそこを考えること、言ってみれば話を聞く耳を持たなかった。そのことは私は非常に残念なことだったなと思っています。

 

平成28(2016)年11月22日

宮内記者会代表質問

問1 殿下にお伺いします。天皇陛下は8月、「象徴としての務め」についてのおことばを表明され、高齢となった天皇のあり方についてのお考えを示されました。表明に至るまでに、殿下はこうした天皇陛下のお考えをいつどのような形でお聞きになり、実際に表明されたおことばをどう受けとめられましたか。今後、天皇皇后両陛下にどのようにお過ごしになっていただきたいかというお考えもあわせてお聞かせください。

 

 今年の8月8日、天皇陛下のお気持ちの表明がありまして、当日は家族全員でその時間テレビで流れた映像を見ました。このお気持ちについて、いつ、どのような形でということですが、これは私自身、いつだったかという、はっきりしたこの時という記憶はありません。ただ、かなり以前のことだったと思います。また、どのような形というのも、何かあるときそういう機会をもって話を伺うということではなく、折々にそういう考えがあるということを伺っておりました。それで今年、陛下がそういうお気持ちを話されたわけですけれども、即位されてから、陛下は象徴というのはどのようにあるべきかということをずっと考えてこられてきたわけです。その一方で、ご自身が考えている象徴としてのお務めが、高齢になってそれが果たせなくなる時が来るだろうということも考えておられました。そのようなことから今回のお話になったわけですが、そのお気持ちをできるだけ多くの国民にも知ってもらいたいという考えを持っておられましたが、その一方でやはりこれは憲法にも関係することですし、非常に慎重な対応をしないといけないわけです。そういうことからお立場の責任もありますので、宮内庁長官を始めごく限られた人たちで、随分そのことについて相談をされ、そして内閣の了解も得てお気持ちを表されるということに至ったと私は理解しております。私自身としては、長い間考えてこられたことをきちんとした形で示すことができた、これは大変良かったことだと思いますし、話されるにしても様々な制限がある中で、最大限にご自身の考えを伝えられたのではないかと考えております。

 

 今、それこそ有識者の議論が続いておりますので、そのこととは全く切り離して、ということでお話ししたいわけですが、私はやはり以前もそれに少し関連したことを話したかもしれませんが、人間ある一定以上の年齢になった、つまり高齢になった場合には、若くて実際にフルに活動ができていたときにはできないことも多々あるわけですので、できるだけある年齢以上になったら、今までやってみたいと思っていたこと,そういうことをできるだけする時間が取れたらいいなと思っております。例えば、若い頃からずっと続けてこられたハゼの研究であったり、音楽であったり、その他、これは私が「こういうこと」と決めてしまうものではありませんが、そういうものをできるだけ時間を取って過ごしていただけたらいいな、と思っております。そして、やはり何と言っても、お身体を大切にして過ごしていただきたいなと思います。

 

問2 殿下にお伺いします。今後の皇室や公務のあり方について、政府は有識者会議を発足させ、議論を進めています。天皇陛下に代わって皇太子さまが即位された場合、皇位継承順位は殿下が第1位に、長男の悠仁さまは第2位になられる一方、皇太子が空位となります。皇族方の減少や高齢化が進むなか、殿下は皇室の現状や将来のあり方、ご自身の活動についてどのようにお考えでしょうか。
 皇室の構成は天皇及び皇族になるわけですが、現状からすれば高齢化、そしてまた今は女性の皇族が非常に多く、結婚すれば皇族ではなくなります。そういうことから、今の活動をそのまま今後も、なかなか表現としては難しいのですが、その量を同じようにできるかというと、私はそれは難しいと思います。ということはやはり、その何年後とかいうことは全く除外して、将来的にその時にいる、それからまた活動ができる皇族ができる範囲で公的な仕事を行っていくということになるのではないかと思います。そして私自身も今まで、例えば高齢になった方や、薨去された方がしておられたお仕事を引き継いだものもあることはありますけれども、数としては決して多くはありません。ですから、これから先私の活動がどういうふうになっていくかということは、今の段階ではまだ自分の中でも分かりません。一方、将来の皇室の在り方というのは、これ自体はやはり制度にも関わることになります。そのようなことですので、今私から将来の在り方ということについてお話をすることは控えたいと思います。

 

関連質問

問 殿下にお伺いいたします。天皇陛下の象徴についてのお務めに関するお言葉なのですが、非常に簡略化して申し上げますけれども、象徴天皇というのは国民のために活動を続ける、それこそが象徴のお姿であると、そのように私は受け止めておりますけれども、一方でそれは天皇の本来の姿ではないと、天皇というのは存在するだけでいいんだという意見の方もいらっしゃいます。これに関して殿下のお考えはいかがでございましょうか。

 

 いろいろな意見があると私は思います。現在の天皇陛下が活動していく、活動はいろいろなことがあります。例えば大きい災害があったときにそこにお見舞いに行かれることもそうでしょうし、その他もろもろのことがあります。私はやはり、いろいろな意見はありますけれども、今現在陛下が、先ほどお話ししましたように、象徴というのはどういうふうにあるべきかということをずっと模索し、考えてこられたその結果であるだろうと考えています。なかなかそれ以上のことは言うことは難しいですけれども、やはり天皇になられてからのその日々の中でずっと考えてこられて、今のような考えになられたと私は思いますし、私もそのお考えは、なかなかいい言葉で言えないですけども、私もそのお考えに非常に同じような気持ちを持っております。

 

平成25(2013)年11月22日

宮内記者会代表質問

問2 殿下にお伺いします。両陛下は公務などでお忙しい日々を送られています。天皇陛下は昨年の会見で、公務について「今しばらくはこのままでいきたい」と述べられる一方で、こどもの日と敬老の日にちなんだ施設の訪問は、来年を最後に若い世代に譲られることになりました。殿下は過去の会見の中で、天皇陛下の公務負担軽減に触れ、「定年制」にも言及されています。両陛下の最近のご健康状態も踏まえ、殿下のお気持ちをお聞かせください。

 

 まず、今ありました「定年制」については、私からそれについて言及したことはありません。これは、問われたことについて私の見解を述べたことなので、念のために申し上げたく思います。
 現在、両陛下はお元気ですけれども、陛下の例えば御公務であったり、両陛下の公的活動などなど、非常に数が多いと私は思っております。陛下が、今しばらくは現状のままということを会見でも話されていますので、私はそのとおりで良いと思いますけれども、実際に非常に多くのお仕事のことを考えますと、周りの者、もちろん私も含めて、常にそのことを意識していく必要がありますし、例えば、行事について何か工夫するべきことがあるかどうかということは考えていく必要があると考えております。ちなみに、敬老の日とこどもの日のことですが、敬老の日は、もう既に両陛下が敬老の対象になっているわけですし、子どもについては、もう孫の世代になっているわけですので、一つ下の、若い、次の世代に移行するというのが、ごくごく自然なことだと思っております。

 

問5 殿下にお伺いします。殿下は昨年春頃から月に1回程度、皇太子さまとともに御所を訪れ、天皇陛下と定期的に懇談されています。象徴天皇としてのお考えや皇室の活動のあり方、今後の課題などが話し合われる貴重な機会となっておられると思います。ご懇談のご様子とあわせ、殿下の心に残ったやり取りをお聞かせください。また、こうしたご懇談の機会を持つことの意義について、殿下はどのようにお考えでしょうか。

 

 懇談の様子とか、やり取りというのは、お話しするのは控えたいと思います。
 ですが、天皇陛下と皇太子殿下、それで私がいて、そこに宮内庁長官がいるという一つの意味は、例えば、天皇陛下のところ、皇太子殿下のところ、それから私も含めてそれ以外の皇族、これをつなぐことができるのは宮内庁長官だけであるわけで、その意味でいろいろな事柄について見解を共有するということは、私はそれ自体非常に意義があることだと思っています。少なくとも、そういうことがなかった時に比べれば、もちろんそれぞれ意見が違うこともこれは当然あるわけですけれども、そういうことも含めて宮内庁長官が知っていてくれるということは、私は非常にいいことだと思っております。
 またこれは,懇談とは直接関係ありませんけれども、時間帯的には大体お昼前くらいなんですね。それなので、終わった後に今度は、この時は長官は外れますけれども、皇后陛下も一緒に4人でお昼をする、これは非常にほっとするいい機会であると私は思っております。

 

関連質問

問1 殿下にお伺いします。宮内庁はこのほど、今後の御陵及び御喪儀のあり方についての発表をいたしました。火葬になることや、両陛下の御陵が隣り合わせになることなどが盛り込まれています。殿下も御了承されているとのことですが、今回の発表についてどのようにお考えでしょうか。

 

 発表についての考え方ですけれども、火葬にする、これは相当前からそういうことが内々では話し合われていました。いつから宮内庁の方でもそれについて検討を始めたかということは、私、記憶にありませんけれども、今、日本国内ではほとんどが火葬になっている時代です。そういうことから見ても、私は今回の発表にありましたように、火葬にするというのは適切なことだと思います。

 

 また 陵についても、何と言っても多摩陵墓監区のあの場所が限られていますので、今までと同じような陵を作ることはできないわけですので、合葬ではありませんけれども、一体化した形の陵を作るということも、私は将来的なことも考えて適当なことではないかと思っています。

 

問2 先ほど、眞子内親王殿下と佳子内親王殿下の御結婚のことにちょっと触れられましたけれども、将来ですね、御結婚ということになった時に、個人的なお考えとして、皇室に残るという、残ってほしいなと、そういったお気持ちはおありでしょうか。

 

 それは、この前までいろいろ議論があった女性宮家とも関係してくる可能性がありますね。
 娘ですので、近くにいてくれたらいいとは思いますけれども、それは、皇室に残るという意味ではなく、物理的にそれほど離れてない所にいたらいいな、という気持ちはあります。ただ、今、かなり遠くにいても、スカイプとかいろいろできる時代になっているので。私はそんなに使いませんけれども。ただ、そういう気持ちはあります。

 
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昭和12年学会
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