食糧問題に関する御言葉

 

昭和二十一年五月二十四日

 

祖国再建の第一歩は、国民生活とりわけ食生活の安定にある。戦争の前後を通じて、地方農民は、あらゆる生産の障害とたたかい、困苦に堪え、食糧の増産と供出につとめ、その努力はまことにめざましいものであったが、それにもかかわらず、主として都市における食糧事情は、いまだ例を見ないほど窮迫し、その状況はふかく心をいたましめるものがある。これに対して、政府として、直ちに適切な施策を行うべきことは言うまでもないのであるが、全国民においても、乏しきをわかち苦しみを共にするの覚悟をあらたにし、同胞たがいに助けあって、この窮況をきりぬけなければならない。戦争による諸種の痛手の恢復しない国民にこれを求めるのは、まことに忍びないところであるが、これをきりぬけなければ、終戦以来全国民のつづけて来た一切の経営はむなしくなり、平和な文化国家を再建して、世界の進運に寄与したいという、我が国民の厳粛かつ神聖な念願の達成も、これを望むことができない。この際にあたって、国民が家族国家のうるわしい伝統に生き、区々の利害をこえて現在の難局にうちかち、祖国再建の道をふみ進むことを切望し、かつ、これを期待する。

 
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昭和12年学会
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