宇宙の始まりを天地開闢という、こうして日本の世界が始まった

 

天の川銀河

はじめに

 

日本の神話は世界の誕生から始まります。
古事記や日本書紀の宇宙観そして世界観があります。

 

ここでは、天地の始まりである天地開闢をご紹介します。

 


 

天地開闢

 

天地が始まる前

古事記や日本書紀には、陰陽の思想が入っています。
陰陽では、原初が混沌つまりカオスの状態であるという考えがあります。

 

混沌の中には、明るい気を表す「陽」の気と暗い気を表す「陰」の気がせめぎ合っている状態です。

 

古事記の始まりではなく、「序」の部分で混沌を表現しています。

 

 混元既に凝りて、気象未だ效(あらわ)れず。名も無く爲(わざ)も無し。誰れかその形を知らむ

 

このように原初の状態が陰陽思想でいうところの「混沌」の状態から始まります。

 

天地の始まり

混沌から突如として「天地」が始まります。

 

 天地(あめつち)初めて発(ひら)けし時、高天(たかま)の原に成れる神の名は、天之御中主神(あめのみなかぬしのかみ)、次に高御産巣日神(たかみむすひのかみ)、次に神産巣日神(かみむすひのかみ)、この三柱(みはしら)の神は、みな独神(ひとりがみ)と成りまして、身を隠したまいき。

 

天地つまり宇宙が初めに存在し、その宇宙から神が誕生しました。
ユダヤ教やキリスト教では、初めに神であるゴッドが天地を創造しますが、日本ではその逆となります。

 

この世界観は、宇宙などの自然的なものが最上位にあり、その中から神が誕生し、そして人が誕生するというものです。

 

自然→神→人

 

この世界観に対してユダヤ教やキリスト教では、唯一絶対の全知全能の神が最上位にあり、その神が天地を創造し、そして神に似せて創られた人が自然を管理するというものです。

 

神→人→自然

 

このように多神教と一神教の違いもあり、世界に対する価値観がまったく異なります。
また日本の神は、自然の中に神を見出すことがあるため、概念的なものや感情的なもの、妖しいものも神とされます。

 

ここで、
天之御中主神
高御産巣日神
神産巣日神
の三柱の神がお成りになります。

 

そしてそれぞれが独神です。
つまり、三柱の神はそれぞれが単独で独立した神という意味になります。

 

最後に身を隠すことになりますが、これは、「いなくなる」ということではありません。
いわば実体があるものではなく、概念としてその世界に存在しているということです。

 

続いて二柱の神が誕生

続いて宇摩志阿斯訶備比古遅神(うましあしかびひこぢのかみ)と天之常立神(あめのとこたちのかみ)が誕生しました。

 

前段の三柱の神と合わせて根源的な神で、別天津神(ことあまつかみ)と呼びます。

 

神世七代の時代

別天津神の五柱の神の後に、神世七代(かみのよななよ)として七代の神の時代が現れます。

 

まず最初の二代は、一柱ずつです。
国之常立神(くにのとこたちのかみ)
豊雲野神(とよぐもぬのかみ)

 

そして続いては二柱ずつでそれぞれ男性神と女性神で一代となります。
宇比地邇神(うひぢにのかみ)・須比智邇神(すひぢにのかみ)
角杙神(つぬぐいのかみ)・活杙神(いくぐいのかみ)
意富斗能地神(おおとのぢのかみ)・大斗乃弁神(おおとのべのかみ)
淤母陀琉神(おもだるのかみ)・阿夜訶志古泥神(あやかしこねのかみ)
伊邪那岐神(いざなぎのかみ)・伊邪那美神(いざなみのかみ)

 

以上が古事記に出てくる神世七代の神です。

 

続いて日本書紀では、別天津神がいません。
そのため天地開闢の最初に現れた十一柱七代の神を神世七代としています。

 

始めの三代は、一柱ずつです。
国常立尊(くにのとこたちのみこと)
国狭槌尊(くにのさつちのみこと)
豊斟渟尊(とよくむぬのみこと)

 

そして続いては二柱ずつでそれぞれ男性神と女性神で一代となります。
泥土煮尊(ういじにのみこと)・沙土煮尊(すいじにのみこと)
大戸之道尊(おおとのぢのみこと)・大苫辺尊(おおとまべのみこと)
面足尊(おもだるのみこと)・惶根尊(かしこねのみこと)
伊弉諾尊(いざなぎのみこと)・伊弉冉尊(いざなみのみこと)

 

以上が日本書紀に出てくる神世七代の神です。

 

ここでとくに重要な神は、最後の伊邪那岐神と伊邪那美神になります。

 

どのような神がいるのか

 

別天津神の三柱の神

別天津神のうち、造化三神として、
天之御中主神
高御産巣日神
神産巣日神
がいます。

 

まず天之御中主神は、天の中心にいる神で、混沌から天地が誕生しその最初に現れた神です。

 

次に高御産巣日神と神産巣日神が現れます。

 

それぞれに「産巣日」とあります。
日本書紀では、「産霊」といい、読み方を「ムスヒ」といいます。

 

「ムスヒ」は、「ムス」が生産や生成の意味で、「ヒ」が霊力を指すと言われています。
つまり、生命や生命力の象徴であり、自然に発生する新しい生命などを表したりします。

 

神世七代の神

神世七代の最初の神として国之常立神の神がいます。
国之常立神は、国や国土や大地の永続性を表している神です。

 

続いて神世七代の最後の神として伊邪那岐神と伊邪那美神の二柱の神がいます。

 

それまでの神は、男性神と女性神がいるとはいえ、実体的な人を表す神はいませんでした。
その中で、初めての男性と女性の神です。

 

伊邪那岐神と伊邪那美神は、その後高天原の神々から国土を固めることを命じられます。
それが国生み神話です。

 

ビッグヒストリーから見る宇宙史

 

ビッグヒストリーとは

ビッグヒストリーとは、歴史学、地質学、生物学、宇宙論など多方面の学問を結集して、宇宙の誕生から現在までの巨視的スケールで見るアプローチの仕方です。
オーストラリアの歴史学者デヴィッド・クリスチャンが提唱しました。

 

これによって、様々に専門化された学問のそれぞれの視点ではなく、大きな視点で見ることが出来ます。

 

ビッグヒストリーは4つの領域の組み合わによるものです。
それは宇宙、地球、生命、人間です。

 

そしてビッグヒストリーには、全体を意識する上で1つの大切な要素があります。
それは、次々により複雑なものが出現しているということです。

 

しかもそれは「たまたまちょうど良い条件」によって起きています。

 

複雑になることで多様な要素を生むことになり、それが「たまたまちょうど良い条件」によってさらに複雑化していきます。

 

ビッグバン以前

現実の宇宙では、138億年前に何もない「量子のゆらぎ」状態からビッグバンが起こります。

 

量子ゆらぎは、量子力学に出てくる用語です。
まず量子とは、これ以上小さな単位に分割することが出来ないという単位です。

 

そして量子力学の理論で有名なハイゼンベルクの不確定性原理というものがあります。
宇宙の特徴として、粒子の位置と速度のように同時には完全に正確に知ることが出来ません。

 

量子の世界では、この不確かな側面が、距離と時間が小さくなればなるほど、「乱雑になります。

 

この「乱雑」が量子ゆらぎの状態です。
量子の世界で、粒子と反粒子という対になる粒子が絶え間なく生成と消滅を繰り返しています。
これを「対生成と対消滅」といいます。

 

現実の宇宙では、ビッグバン以前の状態として粒子が絶え間なく「対生成と対消滅」を繰り返している状態だったといわれています。
そして「たまたまちょうど良い条件」によってビッグバンが起こります。

 

ビッグバン以後

ビッグバンは、ビッグバン以前の物質とエネルギーが一点に集まる高温高密度状態によって起こりました。
138億年前の宇宙の誕生時は、極めて高温高圧で、その状態は不安定でした。

 

1次元の時間次元と3次元の空間次元はここで広がることになります。

 

そして量子ゆらぎによって繰り返されていた粒子の対生成と対消滅が、温度が非常に高いことによって粒子と反粒子の対生成と対消滅が起こり、無数の粒子と反粒子が共存している状態です。

 

それが宇宙の膨張によって温度が下がることで、粒子と反粒子の対消滅が進んだと考えられています。

 

そこで、粒子と反粒子の数に差が出来たり、粒子が対消滅の相手を見つけられずに残ったのではないかと言われます。
これを対称性の破れといいます。

 

そうして宇宙は膨張し温度が下がることになります。
この初期の宇宙では、水素やヘリウムなどの簡単な元素が生成されるのみで、まだ恒星や惑星などは存在出来ません。

 

地球の誕生

さらに年月が経つことで、「たまたまちょうど良い条件」が発生し、恒星を誕生させるに相応しい状態になります。
恒星の誕生です。

 

その恒星の中で新たな元素が合成され、多くの元素が誕生します。
そして恒星の超新星爆発によって、恒星の中で作られた元素が宇宙空間に広がりました。

 

その広がった元素が恒星の一部になることで岩石の惑星を生み出します。

 

さらに重力によって宇宙の膨張が減速を始め、それによって密度が生まれ、その密度によって銀河が生まれます。

 

恒星や惑星の誕生と超新星爆発などを繰り返し、新しい恒星や惑星さらには、銀河、銀河団が形作られていきました。
そのような中、45憶年前に太陽系が形成され、地球が誕生します。

 

宇宙年表

 

138億年前 ビッグバン

宇宙の誕生
恒星や銀河の誕生
超新星爆発によって多くの元素が誕生

46億年前 太陽系の誕生
45億年前 地球の誕生
 

この記事で学べること

 

記事のまとめ

いかがだったでしょうか。

 

日本神話の始まりのところですでに日本的な世界観が表現されています。
つまり宇宙などの自然的なものが最上位にあり、その中から神が誕生し、そして人が誕生するというものです。

 

自然→神→人

 

また多くの神々が誕生し、ビッグヒストリーでいうところの宇宙、地球、生命の概念が誕生したとみることが出来ます。

 

ビッグヒストリーでは「たまたまちょうど良い条件」によって様々に複雑化してきました。
そこにはすべてが必然ではなくいわば自然の流れによって複雑化したと考えることが出来ると思います。

 

考えてほしいこと

この記事から考えてほしいことを質問します。

 

どんなものでも構いませんが「無」から「有」を作り出すときに大切にしている考え方は何ですか?

 
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