北条泰時消息文

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北条泰時消息文

口語訳

御式目事

 

雑務御成敗の間、同じ体なる事をも、強きは申とをし、弱きはうづもるるように候を、随分に精好せられ候えども、おのずから人にしたがって軽重などの出来候ざらんために、かねて式条をつくられ候。その状一通まいらせ候。かようの事には、むねと法令の文につきて、その沙汰あるべきにて候に、い中にはその道をうかがい知りたるもの、千人万人が中にひとりだにもありがたく候。まさしく犯しつれば、たちまちに罪に沈むべき盗人・夜射躰(ようちてい)のことをだにも、たくみ企てて、身をそこなう輩おおくのみこそ候へ。まして子細を知らぬものの沙汰しおきて候らんことを、時にのぞみて法令にひきいれて考え候はば、鹿穴ほりたる山に入りて、知らずしておちいらんがごとくに候はんか。この故にや候けん、大将殿の御時も又その儀なく候へば、いまもかの御列にしたがわば、人の心の曲れるをば棄て、直しきをば賞して、おのずから土民安堵の計り事にてや候とてかように沙汰候を、京辺には定めて物をも知らぬ夷戎(えびす)どもが書きあつめたることよなと、わらわるる方も候はんずらんと、憚り覚え候えば、傍(かたわら)痛き次第にて候えども、かねて定められ候はねば、人にしたがうことの出来ぬべく候故に、かく沙汰候也。関東御家人・守護所・地頭にはあまねく披露して、この意を得させられ候べし。且は書き写して、守護所・地頭には面々にくばりて、その国中の地頭・御家人ともに、仰せ含められ候べく候。これにもれたる事候はば、追うて記し加えらるべきにて候。あなかしく。

 

 貞永元年八月八日       武蔵守御判
  駿河守殿

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