養老律令

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養老律令

口語訳

養老律令から抜粋したものを掲載しています。

 

令 巻第一
官位令第一
親王(しんおう、しんのう)
1 一品条
一品(いちほん)
 太政大臣(だいじょうだいじん、おおいまつりごとのおおいまちきみ、おおいまつんことのおおまえつきみ)
二品(にほん)
 左右大臣(さうだいじん、ひだりみぎりのおおいまちきみ)
三品(さんぼん)
四品(しほん)
 大納言(だいのうごん、おおいものもうすつかさ)、大宰帥(だいさいそち、おおみこともちのかみ)、八省卿(はちしょうきょう、やつのつかさのかみ)

 

諸王(しょおう)、諸臣(しょじん)
2 正一位条
正一位(しょういちい、おおいひとつのくらい)

 

3 従一位条
従一位(じゅいちい、すないひとつのくらい)
 太政大臣

 

4 正二位条
正二位(しょうにい、おおいふたつのくらい)

 

5 従二位条
従二位(じゅにい、すないふたつのくらい)
 左右大臣

 

6 正三位条
正三位(しょうざんい、しょうさんみ)
 大納言、勲一等(ぐんいちとう)

 

7 従三位条
従三位(じゅさんい、じゅさんみ)
 大宰帥、勲二等(ぐんにとう)

 

8 正四位条
正四位(しょうしい)
 皇太子傅(こうだいしのふ、こうだいしのかしつき)、中務卿(ちゅうむきょう、なかのまつりごとするつかさのかみ)
以て前は上階
 七省卿(しちしょうのきょう)、勲三等(ぐんさんとう)

 

令 巻第二
職員令 第二
1 神祇官(じんぎかん)
伯(はく)一人。掌らむこと、神祇の祭祀、祝部(はふりべ)・神戸(じんご)の名籍(みょうじゃく)(名帳や戸籍)、大嘗(おおむべ)・鎮魂、御巫(みかんなぎ)、卜(うら)に兆(きざし)みむこと、官の事を惣べ判(ことわ)らむ(決裁)こと。余(その他)の長官事判らむこと、此に准(なずら)へよ。
大副(だいふく)一人。掌らむこと、伯に同じ。余の次官職掌注(しる)さざるは、掌らむこと長官に同じ。
少副(しょうふく)一人。掌らむこと大副に同じ。
大祐(だいゆう)一人。掌らむこと、官内を糺(ただ)し判らむこと、文案(もんあん)を審署(しんじょ)(審査や署名)し、稽失(けいしち)(公務の遅滞や公文書の過失)を勾(かんが)へ、宿直(しくじき)を知らむこと。余の判官此に准へよ。
少祐(しょうゆう)一人。掌らむこと大祐に同じ。
大史(だいし)一人。掌らむこと、事を受(うけたまわ)りて上抄(じょうしょう)せむこと、文案を勘署(かんじょ)(考慮作成して署名)し、稽失を検(かんが)へ出(いだ)し、公文(くうもん)読み申さむこと。余の主典此准へよ。
少史(しょうし)一人。掌らむfffzzことは大史に同じ。
神部(かんべ)三十人。
卜部(うらべ)二十人。
使部(しぶ)三十人。
直丁(じきちょう)二人。

 

2 太政官(だいじょうかん)
太政大臣(だいじょうだいじん)一人。
 右は一人に師とし範として、四海(世界)に儀形(ぎきょう)たり。邦(くに)を経(おさ)め道を論し、陰陽を燮(やわ)らげ理(おさ)めむ。其の人無くは闕(か)けよ。
左大臣一人。掌らむこと、衆(もろもろ)の務(まつりごと)を統べ理め、綱目を挙げ持(と)り、庶事を惣べ判らむこと。弾正の糾さむこと当らずは、兼ねて弾すること得む。
右大臣一人。掌らむこと左大臣に同じ。
大納言四人。掌らむこと、庶事に参議せむこと、敷奏(ふそう)(奏上)、宣旨、侍従せむ、献(たてまつ)り替(す)てむこと(是非を献言し非があれば置き替えること)
少納言三人。掌らむこと、小事を奏宣(奏上、宣下)せむこと。鈴印(りょういん)伝符(でんぶ)請け進(たてまつ)らむ、飛駅(ひやく)の函鈴(はこすず)を進り付(さず)けむこと、兼ねて官印(太政官印)監(み)むこと。其れ少納言は、侍従の員の内に在り。
大外記(だいげき)二人。掌らむこと、詔奏(じょうそう)(詔書、論奏)を勘(かんが)へむこと、及び公文読み申し、文案を勘署し、稽失を検へ出さむこと。
少外記(しょうげき)二人。掌らむこと大外記に同じ。
史生(ししょう)十人。掌らむこと、公文を繕写(ぜんしゃ)し、文案に行署(ぎょうじょ)(署名を得る)せむこと。余の史生此に准へよ。
左大弁(さだいべん)一人。掌らむこと、中務、式部、治部、民部を管(す)べむこと、庶事を受け付けむこと、官内を糺し判らむこと、文案に署(じょ)し、稽失を勾へ、諸司の宿直、諸国の朝集(ぢょうじゅう)を知らむこと。若し右弁官在らずは、併せて行へ。
右大弁(うだいべん)一人。掌らむこと、兵部、刑部、大蔵、宮内を管べむこと。余は左大弁に同じ。
左中弁(さちゅうべん)一人。掌らむこと左大弁に同じ。
右中弁(うちゅうべん)一人。掌らむこと右大弁に同じ。
左少弁(さしょうべん)一人。掌らむこと左中弁に同じ。
右少弁(うしょうべん)一人。掌らむこと右中弁に同じ。
左大史(さだいし)二人。
右大史(うだいし)二人。
左少史(さしょうし)二人。
右少史(うしょうし)二人。
左史生十人。
右史生十人。
左官掌(さかんじょう)二人。掌らむこと、訴人を通伝(つうでん)(訴えを受付)せむ、使部を検校(けんぎょう)(監督)せむ、官府(かんぶ)を守当(しゅとう)(担当して守衛)せむこと、庁事(役所の行事)の鋪設(ふせつ)のこと。右官掌(うかんじょう)二人。掌らむこと左官掌に同じ。
左使部八十人。
右使部八十人。
左直丁(さじきちょう)四人。
右直丁(うじきちょう)四人。
巡察使(じゅんさつし)。掌らむこと、諸国を巡り察(み)むこと。常にしも置かず。巡察すべくは、権(かり)に内外(ないげ)(京内・京外)の官にして、清正灼然(しょうじょうじゃくねん)なる者を取りて充てよ。巡察の事条(じじょう)、及び使の人数は、臨時に量り定めよ。

 

令 巻第三
神祇令 第六
1 天神地祇条
 凡そ天神地祇は、神祇官、皆、常の典に依りて祭れ。

 

2 仲春条
 仲春(なかのはる)
祈年祭(としごいのまつり)

 

3 季春条
 季春(すえのはる)
鎮花祭(はなしずめのまつり)

 

4 孟夏条
 孟の夏(はじめのなつ)
神衣祭(かむみそのまつり)
大忌祭(おおいみのまつり)
三枝祭(さいぐさのまつり)
風神祭(かざかみのまつり)

 

5 季夏条
 季夏(すえのなつ)
月次祭(つきなみのまつり)
鎮火祭(ひしずめのまつり)
道饗祭(みちあえのまつり)

 

6 孟秋条
 孟秋(はじめのあき)
大忌祭(おおいみのまつり)
風神祭(かざかみのまつり)

 

7 季秋条
 季秋(すえのあき)
神衣祭(かむみそのまつり)
神嘗祭(かむにえのまつり)

 

8 仲冬条
 仲冬(なかのふゆ)
上つ卯(かみつう)に相嘗祭(あいむべのまつり)
寅の日(とらのひ)に鎮魂祭(おおむたまふりのまつり)
下つ卯(しもつう)に大嘗祭(おおむべのまつり)

 

9 季冬条
 季冬(すえのふゆ)
月次祭(つきなみのまつり)
鎮火祭(ひしずめのまつり)
道饗祭(みちあえのまつり)
 前の件の諸の祭り、神に供せむ調度及び礼儀、斎日は皆別式に依れ。其れ祈年・月次の祭には、百官は神祇官に集まれ。中臣、祝詞宣べ。忌部、幣帛(へいびゃく)班(あか)て。

 

10 即位条
 凡そ天皇が即位したまわんときは、すべて天神地祇祭れ。散斎(さんさい)一月、致斎(ちさい)三日。其れ大幣(おほみてくら、神に供える幣物)は、三月の内に、修理し訖(お)えしめ。

 

11 散斎条
 凡そ散斎の内には、諸司の事務めんこと旧の如く。喪を弔い、病を問ぶらい、完食(ししは)むこと得じ。また刑殺判らず。罪人を決罰せず。音楽作さず、穢(え)悪の事に預らず。致斎には、唯し祀の事の為に行うこと得む。自余は悉くに断めや。其れ致斎の前後をば、兼ねて散斎と施よよ。

 

12 月斎条
 凡そ一月の斎をば、大祀(たいい)と為よ。三日の斎をば中祀(ちゅうし)と為よ。一日の斎をば小祀(しょうし)と為よ。

 

13 践祚条
 凡そ践祚の日には、中臣、天神の寿詞(よごと)奏せよ。忌部、神璽(じんじ)の鏡劒(たち)上(たてまつ)れ。

 

14 大嘗祭
 凡そ大嘗(おおむべ)は、世毎(よごと)に一年、国司事行へ。以外は、年毎に所司(しょし)(神祇官)事行へ。

 

15 祭祀条
 凡そ祭祀には、所司預(あらかじ)め官に申せ。官、散斎の日の平旦(ひょうたん、夜明け。特に寅の刻(=午前4時頃)をいう。)に、諸司へ頒(あか)ち告げよ。

 

16 供祭祀条
 凡そ祭祀に供せむ幣帛(へいびゃく)、飲食、及び果実の属は、所司の長官、親自(みづか)ら検校せよ。必ず精(くわ)しく細(くわ)しからしめよ。穢雑せしむることなかれ。

 

17 常祀条
 凡そ常の祀りの他に、諸の社に向いて、幣帛を供すべくは、皆五位以上の卜(うら、亀卜)に食(あ)えらむ者を取りて充てよ。{唯し伊勢の神の宮は、常の祀もまた同じ)

 

18 大祓条
 凡そ六月、十二月の晦(くわい)の日の大祓には、中臣、御祓麻(おおぬさ)上れ。東西の文部、祓の刀上りて、祓詞を読め。訖りなば、百官の男女祓の所に聚(あつま)り集れ。中臣、祓詞宣(のた)べ。卜部、解(はら)え除くこと為よ。

 

19 諸国条
 凡そ諸国に大祓すべくは、郡毎に刀一口、皮一張、鍬一口、及び雑(くさぐさ)の物等出せ。戸別(へごと)に麻一条(ひとすじ)。其れ国造は馬一疋出せ。

 

20 神戸条
 凡そ神戸(じんご)の調庸及び田租は、並に神宮造り、及び神に供せむ調度に充てよ。其れ税は一つ義倉(ぎそう)に准(なずら)えよ。皆国司検校して、所司に申し送れ。

 

令 巻第五
継嗣令 第十三
1 皇兄弟子条
凡そ皇の兄弟、皇子をば、皆親王と為(せ)よ。女帝の子も亦同じ。以外は、並に諸王と為よ。親王より五世は、王の名得たりと雖も、皇親の限に在らず。

 

2 継嗣条
凡そ三位以上の嗣(つぎ)継(つ)がむことは、皆嫡相ひ承けよ。若し嫡子無からむ、及び罪疾(ざいしち)有らば、嫡孫を立てよ。嫡孫無くは、次(ついで)を以て嫡子の同母弟(どうもだい)を立てよ。母弟無くは、庶子を立てよ。庶子無くは、嫡孫の同母弟を立てよ。母弟無くは、庶孫を立てよ。四位以下は、唯(ただ)し嫡子を立つ。謂はく、庶人以上をいふ。其れ八位以上の嫡子、叙せずして身亡(みもう)し、及び罪疾有らば、更に立て替ふること聴(ゆる)せ。其れ氏宗(ししょう)(氏上・氏長者)は、勅聴け。

 

3 定嫡子条
凡そ五位以上の嫡子を定めむことは、治部に陳牒(ちんちょう)して、実を験(かんが)えて官に申せ。其れ嫡子罪疾(ざいしち)有りて、罪というは、謂わく、酒に荒耽し、及び余の罪戻あって、将来に器用に任(た)えざる者をいう。疾というは、謂わく、廃疾(はいしち)をいう。重承くるに任えずは、所司に申牒して、実を験えて更に立つつこと聴(ゆる)せ。

 

4 王娶親王条
凡そ王、親王を娶(ま)き、臣、五世の王を娶くこと聴せ。唯し五世の王は、親王を娶ること得じ。

 

令 巻第七
儀制令 第十八
01 天子条
天子。祭祀に称する所。
天皇。詔書に称する所。
皇帝。華夷に称する所。
陛下。上表(天皇に文書を奉ること)に称する所。太上天皇。譲位の帝を称する所。乗輿(じょうよ)。服御(ふくご)(天子の用いる物品)に称する所。車駕(きょが)。行幸に称する所。

 

令 巻第八
公式令 第二十一
1 詔書式条
詔書式
明神(あらみかみ)と御宇(あめのした)しらす日本(ひのもと)の天皇(すべら)が詔旨(おおんごと)らまと云々。咸(ことごと)くに聞きたまへ。
明神と御宇しらす天皇が詔旨らまと云々。咸くに聞きたまへ。
明神と御大八州(おおやしまのくに)しらす天皇が詔旨らまと云々。咸くに聞きたまへ。
天皇が詔旨らまと云々。咸くに聞きたまへ。
詔旨らまと云々。咸くに聞きたまへ。
  年 月 御(ご)、日(にち)畫(か)いたまふ。
  中 務 卿 位 臣 姓 名が宣(せん)
  中 務 大 輔 位 臣 姓 名が奉(ぶう)
  中 務 少 輔 位 臣 姓 名が行(ぎょう)
太政大臣位臣姓
左大臣位臣姓
右大臣位臣姓
大納言位臣姓名等(ら)言(もう)すこと。
詔書らま右の如し。請(うけたまわ)らくは詔(じょう)を奉りて、外(げ)に付(さず)けて施行(せぎょう)せむと。謹(かしこ)み言(もう)す。
   年 月 日
  可。御、畫いたまふ。
右は、御画日(ごえにち)をば、中務省に留めて案と為よ。別に一通写して印署して、太政官に送れ。大納言覆奏せよ。可画きたまふこと訖(おわ)りなば、留めて案と為よ。更に一通写して誥(こう)せよ。訖らば施行せよ。中務卿若し在らずは、即ち大輔の姓名の下に宣注(しる)せ。少輔の姓名の下に奉行注せ。大輔又在らすは、少輔の姓名の下に、併せて宣奉行注せ。若し少輔在らずは、余官の見(げん)に在らむ者、並に此れに准へよ。

 

2 勅旨式条
勅旨云々。
  年 月 日
  中 務 卿 位 姓 名
  大 輔 位 姓 名
  少 輔 位 姓 名
勅旨奉れること右の如し。符(ふ)到らば、奉り行へ。
   年 月 日  史 位 姓 名
大 弁 位 姓 名
中 弁 位 姓 名
少 弁 位 姓 名
右は、勅受(うけたまわ)る人、中務省に宣(のた)び送れ。中務覆奏せよ。訖りなば式に依りて署取れ。留めて案と為よ。更に一通写して太政官に送れ。少弁以上、式に依りて連署せよ。留めて案と為よ。更に一通写して施行せよ。其れ勅に五衛(ごえ)及び兵庫(ひょうご)の事処分せむは、本司覆奏為よ。皇太子の監国(けんごく)(皇太子が留守番をすること)せむも、亦此の式に准へよ。令を以て勅に代へよ。

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