天照大神の命令を神勅というが、それはどのような内容なのか

 

天照大神

古事記や日本書紀には、天照大神の神勅が出てきます。

 

神話はその国の国柄が表現されているものであり、神勅にもその国柄を表現するものが含まれています。

 

ここでは、神勅についてご紹介していきます。

 

 

 

 

神勅とは

神勅の意味

神勅とは、神の勅つまり命令です。

 

日本では、古事記や日本書紀において天照大神の神勅が有名なものとなっています。

 

三大神勅

三大神勅とは、日本書紀に出てくる、天壌無窮の神勅宝鏡奉斎の神勅斎庭稲穂の神勅のことをいいます。

 

神勅は実在したのか

古事記や日本書紀の神代は、創作で実証的ではないといわれればその通りとなります。
しかし、他の国の神話も同様ですが、神話はその国の人柄や社会性を反映したものが描かれています。

 

つまり神話にある表現の根底には、日本の天皇とその皇統そして日本民族の社会生活の重要な部分が内包されているといえます。

 

美智子皇太后が、平成9(1998)年に第26回IBBYニューデリー大会で、「子供の本を通しての平和――子供時代の読書の思い出」という基調講演がありました。

 

子供の頃に父親から勧められた本の中に、古事記や日本書紀を子供向けに再話された内容を読んだことの話をされています。

 

そこで、

 

 今思うのですが,一国の神話や伝説は,正確な史実ではないかもしれませんが,不思議とその民族を象徴します。

 

と言われています。

 

日本という国を考える1つとして、実証的ではないにしても取り上げる必要性があるといえます。

 

 

天壌無窮の神勅

天壌無窮の神勅とは、日本書紀において、皇室の皇祖神である天照大神が、皇孫である邇邇芸命(ニニギノミコト)に向けた勅になります。

 

口語訳
 葦原の千五百秋(ちいほあき)の瑞穂の国は、是れ、吾(あ)が子孫(うみのこ)の王(きみ)たるへき地(くに)なり。宣(よろ)しく爾(いまし)皇孫(すめみま)就(ゆ)きて治(しら)せ。行(さまく)矣(ませ)。宝祚(あまつひつぎ)の隆(さか)えまさんこと、当(まさ)に天壌(あまつち)と窮(きはま)り無けむ。

 

現代語訳
 秋になると稲穂が良く育つ葦原の国は、私より続く皇孫が統治しなさい。天孫が継いでいく限り、この正しい系統が栄える限り、この天と地は永遠に行き詰る事はありません。

 

それぞれの言葉を分解して見てみます。

 

「豊葦原の千五百秋の端穂国」とは、国土と国民の2つ、つまり統治の対象を表しています。

 

「吾が子孫の王たる可き地」をそれぞれ分解します。

 

「吾が」とは、皇祖神である天照大神だけではなく、日本民族の祖としての意味合い、これを実質的に言えば民族の総意といえます。

 

「子孫」とは、将来の子孫を現した言葉です。

 

「王たる可き地」とは、「王」が皇統を継ぐもので、「地」は前段の瑞穂国です。

 

「爾皇孫」とは、邇邇芸命を始めとする皇統を継ぐものです。

 

「治せ」とは、シラスであり、ウシハクの対義語となります。
つまり、信頼や尊敬を集中した精神的統合を表すもので、権力的支配とは一線を画すものです。

 

「宝祚」とは、「あまつひつぎ」と読みますが、より皇統や統治の隆盛を表しているものになります。

 

「天壌と窮り無けむ」とは、天と地が行き詰まることはありませんという意味です。

 

 

宝鏡奉斎の神勅

宝鏡奉斎の神勅は、古事記や日本書紀に出てくる天岩屋神話に出てきた、八咫鏡(やたのかがみ)を天照大神だと思って祀るという内容になります。

 

口語訳
 吾が児(みこ)此の宝鏡(みたからのかがみ)を視(み)まさんこと、当(まさに)吾(われ)を視るかことくすへし。与(とも)に床(みゆか)を同くし殿(みあらか)を共(ひとつ)にし、以(もち)て斎鏡(いはひのかがみ)となすへし。

 

現代語訳
 この鏡(天照大神が瓊瓊杵尊に渡した三種の神器の一つ、『八咫鏡(やたのかがみ)』を指す)を私と思って大切に祀りなさい。またいつも同じ床、同じ屋根の下に必ず置いてしっかり祀りなさい。

 

 

八咫鏡の他に、同じく天の岩屋の時に出てきた八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)そして八岐大蛇を退治した時に出てきた天叢雲剣(あめのむらくものつるぎ)になります。
これは天皇が即位する際に、玉・鏡・劔の三種神器を承けることが皇位継承の証になります。

 

三種の神器は皇室の私物とは考えられず、中国の皇帝が代々、皇帝のしるしである玉璽を受け継いでいくことと同様であり、公器である、「伝国璽」とされています。

 

つまり現在の皇室経済法などの資産に該当するものではありません。
皇室経済法第七条には「由緒ある物」として記載があります。

 

 

斎庭稲穂の神勅

斎庭稲穂の神勅は、日本が農耕民族を表していることや、その稲穂を育て、民を養いなさいという内容です。

 

口語訳
 吾が高天原に所御(きこしめ)す斎庭(ゆにわ)の穂(いなほ)を以て、亦(また)吾が児(みこ)に御(まか)せまつるへし。

 

現代語訳
 我が子(直系の代々の天皇)に高天原にある神々へ捧げるための神聖な稲穂を作る田んぼで出来た穂を与えますので、これを地上で育て主食とさせ国民を養いなさい。

 

現在でも皇居の中に田んぼがあり、稲を植え、育てています。
そして11月の新嘗祭の時に、神前に捧げる儀式を行います。

 

 

神勅は貫史憲法

貫史憲法とは、歴史を貫いて存在する憲法です。

 

神勅にある内容は、それを作った当時の日本民族の根底にある社会的心意であり、それが未来に向けて根本の規範として伝承されることを願ったものといえます。

 

それが、戦後になっては薄れてきていますが、国家の根本としては残っていることから貫史憲法ということが出来ます。

 

 

まとめ

いかがだったでしょうか。

 

紹介した神勅は、三大神勅と言われ、日本書紀に記載があります。

 

神話は、歴史的実証的なものでありませんが、神話自体が日本の国柄を表しており、その時に確信的なものがあったからこそ、後の世に伝わってきていると捉えることが出来ます。

 

 

この記事のおすすめ本

橋をかける 子供時代の読書の思い出(美智子)

日本書紀(上) 全現代語訳 (講談社学術文庫) [ 宇治谷孟 ]


 
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