枢密院官制

 

大日本帝国憲法

明治二十一年勅令第二十二号

 

第一章 組織

 

第一条 枢密院は天皇親臨して重要の国務を諮詢する所とす

 

第二条 枢密院は議長一人副議長一人顧問官二十四人書記官長一人及書記官を以て組織す
2 書記は専任二人とす

 

第三条 枢密院の議長副議長顧問官は親任書記官長は勅任書記官は奏任とす

 

第四条 何人たりとも年齢四十年に達したるものに非されは議長副議長及顧問官に任することを得す

 

第五条 枢密院に議長秘書官を置く専任一人奏任とす

 

第五条の二 枢密院に理事官を置く専任一人奏任とす

 

第二章 職掌

 

第六条 枢密院は左の事項に付諮詢を待て会議を開き意見を上奏す
 一 皇室典範及皇室令に於て枢密院の権限に属せしめたる事項並に特に諮詢せられたる皇室令
 二 帝国憲法の条項に関する草案及疑義
 三 帝国憲法に附属する法律及勅令
 四 枢密院の官制及事務規程の改正
 五 帝国憲法第八条及第七十条の勅令
 六 国際条約の締結
 七 帝国憲法第十四条の戒厳の宣告
 八 教育に関する重要の勅令
 九 行政各部の官制其の他の官規に関する勅令
 十 栄典及恩赦の基礎に関する勅令
 十一 前各号に掲げたるものの外特に諮詢せられたる事項

 

第七条 削除

 

第八条 枢密院は行政及立法の事に関し天皇の至高の顧問たりと雖も施政に干与することなし

 

第三章 会議及事務

 

第九条 枢密院の会議は顧問官十名以上出席するに非されは会議を開くことを得す

 

第十条 枢密院の会議は議長之に首席し議長事故あるときは副議長之に首席す議長副議長共に事故あるときは顧問官其席次に依り首席すへし

 

第十一条 各大臣は其職権上より枢密院に於て顧問官たるの地位を有し議席に列し表決の権を有す又各大臣は委員を差して会議に出席し演述及説明を為さしむることを得但表決の数に加らす

 

第十二条 枢密院の議事は多数に依り之を決す但可否平等の場合に於ては会議首席の決する所に依る

 

第十三条 議長は枢密院に属する一切の事務を総管し枢密院より発する一切の公文に署名す
2 副議長は議長の職権を輔佐す

 

第十四条 書記官長は議長の監督を受け枢密院の常務を管理し一切の公文に副署し会議に付すへき事項を審査して報告書を調製し会議に列し弁明の任に当る但表決の数に加らす
2 書記官は会議に於て議事を筆記し及書記官長の職務を輔佐そ書記官長事故あるときは書記官之を代理す
3 前項の筆記は出席員の姓名会議の事件質問答弁及議決の要旨を記載するものとす

 

第十四条の二 議長秘書官は議長官房の事務を掌る

 

第十四条の三 理事官は上官の命を承け事務を掌る

 

第十五条 特別の場合を除くの外予め審査報告書を調製し其会議に必要なる書類と共に之を各員に配達したる後に非されは会議を開くことを得す
2 議事日程及報告は予め各大臣に通報すへし

 

枢密院事務規程

第一条 枢密院は勅命に由り会議に下付せられたる事項に意見を述ふ

 

第二条 枢密院は帝国議会若くは其一院又は官署又は臣民より請願上其他通信を受領することを得す

 

第三条 枢密院は内閣及各省大臣とのみ公務上の交渉を有することを得す

 

第四条 議長は枢密院に到達するの事項は書記官長に下付して之を審査せしめ及会議に付すへき事項の報告を調製せしむ
2 議長は必要なりと認むる場合に於て親ら報告の任に当り又は顧問官一人若くは数人に之を任することを得へし

 

第五条 審査報告書は報告員より之を議長に提出すへし
2 臨時緊急の場合に於ては口頭を以て報告を為すことを得此場合に於ては其要領を簡短に第八条に載する件名簿に記入すへし

 

第六条 議長は審査報告書を整頓すへき期日を限定することを得報告は成るへく速に之を調製して遷延することを許さす
2 内閣は至急を要する事件に付其由を通知し及其会議の期日を限定することを得

 

第七条 審査報告書は附属文書と共に其会議を開くの日より少くも三日以前に之を各員に配達すへし

 

第八条 件名簿は会議の期日の順序に従ひ之を記入すへし件名簿に登載すへき事項は第一事件の性質第二会議の前文書配達の日時第三其会議の期日等とす
2 会議に付すへき各件に就ては前項に同しき議事日程を調製し其会議を開くの日より三日以前に各員に通報すへし此通報は会議の招状を兼ぬるものとす

 

第九条 枢密院の会議の日時は議長之を定む但各大臣は其日時の変更を求むることを得

 

第十条 枢密院の会議は左の規程に循由し議長若くは副議長之を整理すへし
2 議長は書記官長をして其事件を弁明せしめ次て各員をして自由に討論せしむ何人たりと雖も議長の許可を受くるに非されは発言することを得す議長の討論に参与するは其自由に属するものとす討論既に尽るの後は議長より問題を定め表決w為さしむ
3 議決の結束は議長之を言明すへし

 

第十一条 議事日程に掲載したる事件の会議其当日に結了せさるときは之を他日に延会することを得此場合に於ては更に常例の定式を践行することを要せす

 

第十二条 枢密院の会議の意見は書記官長又は書記官表決の結果に依りて之を起草し議長の検閲を請ふへし此意見には理由を附し重要の事件に就ては討論の要領書を附属すへし
2 反対の議論を主持したる出席員は其表決と其理由とを議事筆記理由書又は要領書に記入せられんことを求むることを得

 

第十三条 前条の意見は議長より天皇に上奏し同時に内閣総理大臣に通報すへし

 

第十四条 枢密院の会議の議事筆記は議長及書記官長又は出席書記官之に署名し其正確を表明すへし


 
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