内閣法制局が作り上げた「内閣」に関する政府解釈

 

内閣法制局

内閣法制局が作り上げた日本国憲法における「内閣」条項に関する政府解釈をご紹介します。

 

 

 

 

内閣総理大臣に関する政府解釈

以下の内容としては、内閣総理大臣の臨時代理は、国務大臣の任免権、衆議院の解散権、内閣の総辞職が出来るかという質問です。

 

それに対して、津野長官は、内閣総理大臣の地位に基づく一身専属的な職務権限については行使することが出来ないと答弁しています。

 

第147回国会常会参議院予算委員会14号3頁
平成12(2000)年4月25日 津野 修 内閣法制局長官
 ちょっと正確を期しますが、三つお聞きになられました。
 それで、まず最初に、内閣総理大臣の臨時代理に国務大臣の任免権はあるかということでございますが、この点につきましては、内閣法九条に基づいて臨時代理が内閣総理大臣の職務を行う場合に、一般論としては臨時代理は内閣総理大臣のすべての職務を行うことになりますが、国会において指名された内閣総理大臣の地位に基づく一身専属的な職務権限については臨時代理が行使することができないものと考えております。
 国務大臣の任免権につきましては、直接内閣の構成に係るものでありますので、国会において指名された内閣総理大臣の地位に基づく一身専属的な職務権限の一つであることから、臨時代理はこれを行使することができないものというふうに考えております。
 それから、内閣総理大臣の臨時代理に国会の解散権はあるかというようなこととか、あるいは内閣総理大臣の臨時代理が総辞職をすることができるかというような御質問がございましたけれども、これらについても内閣総理大臣の一身専属的な権能に属するものと考えられますので、臨時代理が主宰する内閣において行うことはできないというふうに基本的に考えられております。
 それから、予算編成権の分は、これはできるというふうに考えております。

 

内容としては、内閣に衆議院の解散権があることは前提で、それは国民の信を問うという大切な国家行為になります。

 

それは憲法第69条の匹敵する事由でなければ、やたらに解散するべきではないということです。

 

内閣総理大臣の「伝家の宝刀」という言い方もあります。

 

郵政解散の際には、参議院が否決された上で、あえて衆議院を解散してその民意を問うものでした。
また消費税を8%から10%に上げるのを延期するために解散権を使うというのは、その意味では、民意を問う必要があるのかということがいえるかもしれません。

 

そして憲法第7条に基づいて、天皇の名でもって衆議院を解散し、民意を問うという意味になります。

 

第87回国会常会衆議院法務委員会14号20頁
昭和54(1979)年5月23日 真田 秀夫 内閣法制局長官
 三権分立に関しまして、飯田委員が、お互いに三権は侵し合わない、衆議院の解散は衆議院が決議を行うことによって解散が行われるべきだというお考えをお持ちになっておることは、私も知っております。
 それに対しまして、もしここで私から一言反論することをお許しいただきますと、こういうことになるのです。
 決議で行うということになりますと、これは多数決ということに相なるわけでございまして、その多数決によって、衆議院がいわゆる自律権と申しますか、先生のおっしゃる自律権で、そこで解散という効果が出て、そして天皇が詔書をお出しになるということになりますと、その多数決で敗れた、つまり少数説の衆議院の議員さんの任期も切れてしまう、これはむしろ憲法の規定の明文に実は反するので、やはりそういうことは許されないのじゃなかろうかというふうに考えるわけでございます。
 そこで従来の、御存じの例の両院法規委員会の勧告にしろ、あるいは先般の問題になっておりまする保利書簡にしろ、それはいろいろ言い方としては、乱用すべきじゃないとか、あるいは党利党略をもって解散を行うべきでないとか、あるいは大義名分のない解散は行うべきでないとか、表現の言い回し方はいろいろありますけれども、いずれもそれは内閣に衆議院の解散権があるということを前提にして、そして、これは非常に大事な国家行為であって、国民の信を問うという制度でありますから、これは慎重にやって、しかるべき理由がなければ、つまり保利書簡によりますと、六十九条に匹敵するような事由がある場合でなければ、それはやたらに解散は行うべきでないのだというようなことが書いてありまするが、それはいずれも政府に衆議院解散権があるということを当然の前提にして考えていらっしゃるに違いないというふうに思うわけでございます。
 そこで、また七条に戻りますが、七条には天皇の国事行為として十幾つかの号が立ててございますが、しさいに見ますと、その条項自体が非常に形式的な行為である。「儀式を行ふこと。」というのが最後にございますが、これなんかもその典型的なものなんです。ところが「國會を召集すること。」とか「衆議院を解散すること。」ということは、そのこと自体を見ると、これは非常に政治的な内容のものなんです。しかしながら、天皇は国政に関する権能は有しないということから、国政に影響のある実体面については、それは内閣の助言と承認をもってまず定まって、そして、それの詔書の公布という形式行為だけがあそこに残ってくる、こういうふうに考えざるを得ないというのが私たちの解釈でございます。

 

 

まとめ

いかがだったでしょうか。

 

内閣総理大臣の地位に基づく一身専属的な職務権限については、臨時代理といえども行使が出来ません。

 

そして衆議院の解散権についてご紹介しました。

 

 

この記事のおすすめ本

政府の憲法解釈(阪田 雅裕)

憲法9条と安保法制 政府の新たな憲法解釈の検証(阪田 雅裕)


 
この記事はお役に立ちましたでしょうか。
この記事が誰かの役に立ちそうだと感じて頂けましたら、下のボタンから共有をお願い致します。

    このエントリーをはてなブックマークに追加  

昭和12年学会
ページの先頭へ戻る