内閣法制局の普段の仕事によって、どのように影響力を与えているのか、その視点で見ていきましょう!

 

内閣法制局

現在の内閣法制局は、どのような仕事をしているのか、中々見えにくいところがあります。

 

そして実際に各省庁や国会議員に対して、どのように関わっているのか。

 

ここでは、普段の内閣法制局の組織形態や仕事についてご紹介します。

 

 

 

 

内閣法制局の構成について

構成員

内閣法制局の構成は、副大臣級の長官を始め、各省事務次官級の次長、第一部長、第二から第四までの各審査部の部長、総務主幹、参事官となっています。

 

長官と次長になることが出来るのは、法務省(検事併任者)、財務省(旧大蔵省)、経済産業省(旧通商産業省)、総務省(旧自治省)の四省出身者になっており、これは「四省責任体制」という不文律が存在します。

 

また、長官は特別職公務員なので定年はありません。
しかし次長以下は一般職国家公務員のため定年があります。
次長は62歳、それ以外の職員は60歳です。

 

参事官については、大卒者からのプロパー採用ではなく、他省庁からの出向者で占められているのが特徴です。

 

出世コース

内閣法制局長官への出世は概ね定まっています。

 

本省から内閣法制局へ参事官として出向を命じられ、5年程度の経験を積むことになります。
そこで将来の幹部にふさわしい人が、そのまま残るかあるいは本省に復帰して再度出向を命じられて内閣法制局に留まります。
そして役職として総務主幹という幹部ポストに就いて、その後第二から第四部の部長、第一部長、次長、長官の順に出世していきます。

 

ちなみに総務主幹は、他省庁でいえば官房長、各審査部の部長が局長級、次長は事務次官級、長官は副大臣級となります。

 

天下り先

内閣法制局長官をまっとうしたもののほとんどの人は、天下り先として最高裁判所判事と地域振興整備公団総裁のポストがあります。

 

その後叙勲となります。

 

もし地域振興整備公団総裁の場合には、勲一等瑞宝章です。
最高裁判事の場合には、一つ上の勲一等旭日大綬章を受勲することになります。

 

しかし地域振興整備公団総裁をまっとうしたものでも、最高裁判事を務めた場合には、再勲という形で勲一等旭日大綬章を受けることが出来ます。

 

 

内閣法制局の業務について

主な業務

内閣法制局の主な業務は、2つあります。

 

1つ目は、意見事務といいます。
これは、法律問題に関して内閣や内閣総理大臣、各省大臣に対し「意見」を述べるというもので、四部ある部署の中で第一部が担当します。

 

2つ目は、審査事務といいます。
これは、閣議に付される法律案や政令案、条約案を「審査」するというもので、四部ある部署の中で第二部から第四部が担当します。

 

意見事務

意見事務は、政府内で法律や政令の解釈について諮問された場合に、内閣法制局としての見解を明らかにします。
そしてこの意見が政府内の統一的な解釈として拘束力を持ちます。
これを有権解釈といいます。

 

また国会で内閣法制局の長官や第一部長が答弁に立つことがありますが、これも意見事務に該当します。

 

意見事務の中でも憲法解釈については、最終的に内閣の責任において決定することになりますが、第一次的には各法令を所管し、それを執行する各省庁に憲法解釈を行います。

 

そのこともあり、戦前は枢密院がいたことで法制局のチェック機関にもなっていましたが、今では、国の政策決定の元となる法案作成に強い影響力を持つようになりました。

 

また内閣法制局という組織の構成が、各省庁から訓練された法知識を持つ人材を集めています。
そして局内において法律問題を専門的、集中的に研究します。

 

そんなことから内閣法制局が打ち出す憲法解釈は、余程のことがあっても崩れないという自負があります。

 

審査事務

審査事務は、閣議に付される法律案や政令案、条約案が憲法やその他の現行法制との関係や妥当性について、条文の表現や字句の誤り等を、各部で読会制で行います。

 

そこで法律案の骨子から大綱、条文の配列などの構成、個々の条文と読会が進むにしたがって細部を詰めていくやり方で行われます。

 

審査は、各省庁から始まり、省内での協議が進むと、各省との折衝や族議員への根回しという与党対策が行われます。
その後、予備審査を経て、閣議請議として内閣官房に送られ、閣議にかける手続きが進みます。
内閣法制局の審査は、請議された法案が内閣官房から法制局へ送付されて行われることになります。

 

その後、内閣官房に回付し事務次官等会議を経て、閣議となります。
閣議後、国会への審議に入ります。
法律案の審議は、法文として完璧性を誇り、すでに与党とは綿密に調整済みのため、国会での与党議員は法案を通すための採決要員に過ぎません。

 

そのため野党は法案議論よりも国会会期末を狙ったスケジュール闘争になり、まともな政策や法律論議ではなくなることがあります。

 

法案審査のスケジュールについては以下のようになります。
6月頃 次年度予算の概算要求の作業開始。法案の検討がスタート
8月末 概算要求書を財務省へ提出。予算関連法案の概要を内閣法制局へ送付
9月20日 次期通常国会提出予定法案の件名・要旨を内閣参事官室へ提出、その後内閣法制局へ送付
12月末 予算案閣議決定、提出予定法案がほぼ確定
1月上旬 法律案提出時期等を調べ、内閣参事官室へ提出。文書課長等会議・内閣法制局の予備審査が本格化
1月20日頃 通常国会召集・予算案の国会提出
2月上旬 予算関係法案の閣議決定期限
2月末 内閣提出予定法律案・条約要旨調の官報掲載
3月上旬 非予算関係法案の閣議決定期限
4月 予算成立とともに、法案審議の本格化

 

内閣法制局に所属する参事官は、通常国会の会期直前から会期中の前半1月から3月に、100本前後の法案を審査することになります。
この時期は、日曜日や休日を返上して、約16時間半職場にいることもざらという話です。

 

忙しい時には睡眠三時間、暇なときは仕事が三時間、予算編成時の財務省主計局に酷似しているといえます。

 

 

まとめ

いかがだったでしょうか。

 

内閣法制局は他省庁と比べても規模が小さいことがわかると思います。
しかしそれでいて、内閣法制局長官のポストが副大臣級であり、天下り先は最高裁判所判事です。

 

また内閣法制局の力の源泉ともいえる意見事務と審査事務によって、他省庁や国会議員を圧倒し、政府内に強い影響力を与える組織であるといえます。

 

 

この記事のおすすめ本

「法の番人」内閣法制局の矜持 解釈改憲が許されない理由(阪田 雅裕、川口 創)

法の番人として生きる 大森政輔元内閣法制局長官回顧録(大森 政輔)


 
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