憲法義解

 

 

口語訳

密(ひそか)に思うに、皇室典範は
歴聖の遺訓(歴代天皇が遺した教訓)を祖述(受け継ぎ)し、後昆(こうこん、後の世の人)の常軌を垂貽(すいい、推しおくるもの)し、帝国憲法は国家の大経を綱挙し、君民の分義を明確す。意義精確、炳(明らか)としての日星の如く、文理深奥、辞の賛すべきなし。これ皆宏謀遠献、一に聖裁によるものなり。博文密かに僚属を供に研磨考究するの途、録して筆記と為し、稿を易(判り易く)へ、繕写(ぜんしゃ)し、名けて義解(ぎげ)という。敢えて大典の註疏(註釈書)と為すにあらず。いささか備考の一に充てむことを冀(こ)うのみ。もしそれ貫穿(かんせん、貫き通す)疏通して、類を推し、義を衍(えん)ずるに至っては、これを後人に望むことあり。而して博文の敢えて企つるところに非ざるなり。
明治二十二年四月 伯爵 伊藤博文謹誌

 

 

現代語訳

密かに思うには、皇室典範は
歴代天皇が残された教訓を受け継いで記し、
後世へ常軌しめしおくるもので、帝国憲法は国家の大経を綱挙(大綱を掲げること)して、君民の区別を明確にする。意義は精確で明らかであり、日や星のように文理は奥深く、書かれた言葉の美しさを誉め称えるところは無い。これは全て、遠くまで見渡した大いなる計画で、ひとえに聖裁によるところで有る。博文、密かに属僚とともに研磨考究した事を、余さず記録して筆記とし、原稿を判り易く繕写して、名づけて義解という。敢えて大典の解説や説明とするのではなく、いささか備考の一つに付け加えられる事を冀うだけである。もしそれ、精通し類推して意味を押し広めて解き明かす事は、後の人に望む事であり、博文の敢えて企てる所ではない。謹んで書き記す。
明治二十二年四月 伯爵 伊藤博文

 

 

ポイント

憲法とは、国家経営の基本法です。
君主と民の区別を明確にしています。

 
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昭和12年学会
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