伊藤博文の憲法義解〜第十九条〜

第十九条 日本臣民は法律命令の定むる所の資格に応し均く文武官に任せられ及其の他の公務に就くことを得
(日本臣民は、法律命令の定める資格に応じて、均しく文武官に任命及びその他の公務に就くことが出来る)

 

 

 

 

口語訳

文武官に登任し及その他の公務に就くは門閥に拘らず。
これを維新改革の美果の一とす。
往昔門地をもって品流(ひんりゅう)を差別せし時に当ては、官をもって家に属し、族によって職を襲(つ)ぎ、賤類に出る者は才能ありといえども、顕要に登用せらるることを得ず。
維新の後陋習(ろうしゅう)を一洗して門閥の弊を除き、爵位の等級は一も就官の平等たるに妨ぐることなし。
これ乃(すなわち)憲法のこれを本条に保明するところなり。
ただし、法律命令をもって定むるところの相当資格、即ち年齢・納税及試験能力の諸般資格は仍(よって)官職及公務に就くの要件たるのみ。

 

日本臣民は均く文武官に任ぜられ及その他の公務に就くことを得といふときは、特別の規定あるによるの外、外国臣民にこの権利を及ぼさざること知るべきなり。

 

 

現代語訳

文武官に登用任命し、その他の公務に就くのは、門閥にこだわらない。
これを明治維新における改革の成果の一つとする。
かつて門地によって身分を差別していた時代では、官職を家によって決まり、家族によって職を世襲し、低い身分の者は才能があっても要職に登用されることができなかった。
維新の後、悪い習慣を一掃して、門閥の弊害を除き、爵位の等級は一つも官職に就くことの平等を妨げることはない。
これはすなわち、憲法が本条によって明らかにし保障するところである。
ただし、法律や命令で定める相当の資格、すなわち年齢や納税及び試験での能力の諸般の資格は、官職及び公務に就くための要件であるのみである。

 

日本臣民は、「均く文武官に任せられ及其の他の公務に就くことを得」というときは、特別の規定がある場合を除き、外国臣民にこの権利を認めないことは知るべきである。

 
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昭和12年学会
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