憲法義解〜第三十九条

第三十九条 両議院の一に於て否決したる法律案は同会期中に於て再ひ提出することを得す
(両議院の一つで否決された法律案は、同会期中に再提出することは出来ない)

 

 

 

 

口語訳

再議の提出は議院の権利を毀損するのみならず、亦会期遷延して一事に拘滞するの弊あらんとする。
故に、本条に之を禁止せり。
既に否決を経たる同一の議案を以て其の名称文字を変更し、再び之を提出し、以て本条の規定を避けるは亦憲法の許さざる所なり。

 

君主の裁可を得ざるの法案は、同一会期の中に議院より提出することを得ざるは此れ固より元首の大権に対する事理の当然にして更に言明を假らず。
但し、建議の条に於いて、其の再び建議することを禁ずることを掲げるは、提出議案の裁可の有無は至尊の勅命に由り、而して、建議採納の有無は政府の取捨に存す。
其の間、固より軽重の差あり。
従って予め疑義を判明するの要用を見ればなり。

 

 

現代語訳

議案の再提出は、議会の権利を損なうだけでなく、また、会期が延長して一事にとらわれ停滞する弊害が予想される。
ゆえに本条において禁止する。
すでに否決された同一の議案を、名称や文言を変更して再び提出し、本条の規定を避けるのは、憲法が許さないところである。

 

君主の裁可を得ない法案は、同一会期中に議院より提出することができないのは、元首の大権の道理から当然のことであり、更に言明を必要とはしない。
ただし、建議の条(次の第四十条)において、再び建議することの禁止を掲げるのは、提出議案の裁可の有無は至尊たる天皇の勅命により、そして建議の採否は政府が判断するからである。
その間、もとより軽重の差がある。
従って、あらかじめ疑義が判明する必要から、明記されたのである。

 
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昭和12年学会
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