憲法義解〜第五十二条

第五十二条 両議院の議員は議院に於いて発言したる意見及び表決に付き院外に於いて責を負うことなし但し議員自ら其の言論を演説刊行筆記又は其の他の方法を以て公布したるときは一般の法律に依り処分せらるべし
(両議院の議員は、議院で発言した意見及び表決について、院外で責任を負うことはない。ただし、議員自らが言論を演説、刊行、筆記及びその他の方法で公布したときは、一般の法律によって処分される)

 

 

 

 

口語訳

本条は議院の為に言論の自由を認める。
蓋し、議院の内部は議院の自治に属す。
故に、言論の規矩(きく、規則)を越え、徳義を紊(みだ)り、又は人の私事を讒毀(ざんき〉するが如きは、議院の紀律に拠り、議院自ら之を制止し、及び懲戒すべき所にして、而して、司法官は之に干渉せざるべきなり。
議決は以て法律の成案を為さんとする。
而して、議院の討論は異同相摩して、其の一に帰結するの資料を為す者なり。
故に、議院の議は以て刑事及び民事の責を問うべからざるなり。

 

此れ一は議院の権利を尊重し、二は議員の言論をして十分に価量あらしめんとなり。
ただし、議員自ら議院の言論を公布し、其の自由を冒用して之を外部に普及するに至っては動議と駁議とを問わず総て法律の責問を免れることを得ず。

 

 

現代語訳

本条は、議院に言論の自由を認める。
思うに、議院の内部は議院の自治に属する。
ゆえに言論の決まりを逸脱し、徳義に反し、または個人の私事を誹謗中傷するようなことは、議院の紀律により議院自らが制止し、懲戒すべきところであり、そして司法官はこれに干渉すべきではない。
議決は法律の成案をなすものである。
そして議員の討論は異なる意見を戦わせ、それを一つに帰結するための資料をなすものである。
ゆえに議院の審議は刑事や民事の責任を負うべきではない。

 

これは、一つ目は議院の権利を尊重し、二つ目は議員の言論を十分に尽くさせるものである。
ただし、議員自らが議院の言論を公表し、その自由を悪用して外部に普及した場合は、動議と反論を問わず、すべて法律の問責を免れることはできない。

 
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昭和12年学会
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