憲法義解〜第七十条

 

 

口語訳

本条の解釈は既に第八条に具わる。
但し、第八条と異なる所の者は第八条は憲法に於いて議会開会せざるときは臨時会の召集を要せず。
本条は議会開会せざるときは臨時会の召集を要す。
而して、内外の情形に由り、議会を召集し能わざるときに限り、始めて議会の協同を待たずして必要の処分を施すことを得。
蓋し、本条は専ら財政に関わるを以て更に一層の慎重を加えるなり。

 

所謂「財政上必要の処分」とは立法議会の協賛を経べき者にして、而して、臨時緊急の場合の為に協賛を経ずして処分するを謂う。

 

臨時財政の処分にして将来に国庫の為に義務を生ずる者、若し議会の事後承諾を得ざるときは何等の結果を生ずべき乎。
蓋し、議会の承諾を拒むは将来に継行するの効力を拒む者にして、其の既に行える過去の処分を追廃するに非ず〈第八条の説明既に之を詳らかにする〉。
故に、勅令に依り既に生じたるの政府の義務は議会之を廃すること能わず。
抑々、事、若し此に至れば国家不詳の結果として視ざることを得ず。此れ本条の国家の成立を保護する為に至って已むを得ざるの処分を認め、又議会の権を存崇して尤も慎重の意を致す所以なり。

 
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昭和12年学会
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