憲法義解〜第七十三条

 

 

口語訳

恭て按ずるに、憲法は我が天皇の親しく之を制定し、上、祖宗に継ぎ、下、後世に遺し、全国の臣民及び臣民の子孫たる者をして其の条則に遵由せしめ、以て不磨の大典となす所なり。
故に、憲法は紛更を容さず。
但し、法は社会の必要に調熟して其の効用を為す者なり。
故に、国体の大綱は万世に亘り永遠恒久にして移動すべからずと言えども、政制の節目は世運と倶に事宜を酌量して之を変通するは亦己むべからざるの必要たらずんばあらず。
本条は将来に向って此の憲法の条項を改定するの事あるを禁せず。
而して、憲法を改定する為に更に特別の要件を定めたり。

 

通常の法律案は政府より之を議会に付し、或いは議会之を提出する。
而して、憲法改正の議案は必ず勅命を以て之を付するは何ぞや。
憲法は天皇の独り親ら定める所たり。
故に、改正の権は亦天皇に属すべければなり。
改正の権既に天皇に属す。
而して、仍之を議会に付するは何ぞや。
一度定まるの大典は臣民と倶に之を守り、王室の専意を以て之を変更することを欲せざるなり。
議院に於いて之を議決するに通常過半数の議事法に依らしめずして必ず三分の二の出席と及び多数を望むは何ぞや。
将来に向って憲法に対する慎守の方向を扶持するなり。

 

本条の明文に拠るに憲法の改正条項を議会の議に付せられるに当たり、議会は議案の外の条項に連及して議決することを得ざるべきなり。
又議会は直接又は間接に憲法の主義を変更するの法律を議決して以て本条の制限を逃れることを得ざるべきなり。

 
この記事はお役に立ちましたでしょうか。
この記事が誰かの役に立ちそうだと感じて頂けましたら、下のボタンから共有をお願い致します。

    このエントリーをはてなブックマークに追加  

昭和12年学会
ページの先頭へ戻る