憲法義解〜第十三条

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憲法義解〜第十三条

第十三条 天皇は戦を宣し和を講し及諸般の条約を締結す
(天皇は、宣戦を布告し、講和を結び、その他の条約を締結する)

 

 

 

 

口語訳

恭て按ずるに、外国と交戦を宣告し、和親を講盟し、及条約を締結するのことは総て至尊の大権に属し、議会の参賛を仮(いつわ)らず。これ一は君主は外国に対し国家を代表する主権の統一を欲し、ニは和戦及条約のことは専ら時機に応じ籌謀(ちゅうぼう)迅速なるを尚(たっと)ぶによるなり。
諸般の条約とは和親・貿易及連盟の約を謂ふなり。
(附記)欧州の旧例によるに、中古各国の君主は往々外交のことを親らし、英国「ウィリアム」三世の如きは躬(みずから)外務長官の任に当り、当時の人その尤(もっとも)外交事務に長じたることを称賛したり。
近時立憲の主義漸くに進歩を加ふるに及て、各国外交の事務亦責任者宰相の管掌に属し、君主はその輔翼に倚(よ)りてこれを行ふこと他の行政事務と一般なるに至れり。
那破列翁(ナポレオン)仏国の執権たりし時、両国講和の文函(ぶんこ)を作り、直に英国の君主贈りしに、英国はその書を受けて而して外務執政の書をもってこれに答へたり。
今日国際法に於て、慶弔の親書を除く外、各国交際条約のこと総て皆執政大臣を経由するは列国の是認する所なり。
本条の掲ぐる所は専ら議会の関渉(かんしょう)によらずして天皇その大臣の輔翼により外交事務を行ふを謂うなり。

 

 

現代語訳

恭んで考えるには、外国と交戦を宣告したり和親を講じたり、条約を締結することは、すべて至尊たる天皇大権に属し、議会の参賛は不要である。これは、一つ目には君主は外国に対して国家を代表する主権の統一が求められ、二つ目には和戦及び条約は、もっぱら時機に応じてはかりごとを迅速にすることが重んじれらることによる。
「諸般の条約」とは、和親、貿易及び連盟の条約をいう。
(附記)ヨーロッパの過去の例では、中世各国の君主は、往々にして外交のことを自ら行い、イギリスのウィリアム三世は、自ら外務長官の任にあたり、当時の人は外交事務に長じたことを称賛した。
近年、立憲主義がようやく進歩するにおよんで、他の行政治事務と同様に、各国の外交事務は責任大臣が管轄し、君主はその補佐によって行うようになった。
ナポレオンがフランスの執権であったとき、英仏両国の講和文書を作成し、直接イギリスの君主に送り、イギリスはその書簡を受けて、外務執政の文書によって答えた。
今日国際法においては、慶弔の親書を除いて、各国の交際や条約のことをすべて執政大臣を経由して行うことについて、多くの国は認めている。本条の掲げるところは、もっぱら議会の干渉によらず、天皇が責任大臣の補佐により外交事務を行うことを言っている。

 
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