憲法義解〜第三十五条

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憲法義解〜第三十五条

第三十五条 衆議院は選挙法の定むる所に依り公選せられたる議員を以て組織す
(衆議院は、選挙法の定める所により、公選された議員により組織する)

 

 

 

 

口語訳

衆議院の議員はその資格とその任期とを定めて広く全国人民の公選するところを取らむとす。
本条議員選挙の制規をもってこれを別法に譲る者は、けだし選挙の方法は時宜の必要を将来に見るに従い、これを補修するの便を取ることあらむとす。
故に憲法はその細節に渉ることを欲せざるなり。

 

衆議院の議員は総て皆全国の衆民を代表する者たり。
而して衆議院の選挙に選挙区を設くるは、代議士の選挙をして全国に普通ならしめ、及選挙の方法に便りするに外ならず。
故に代議士は各個の良心に従い自由に発言する者にして、その所属選挙区の人民の為に一地方の委任使となり委囑を代行する者に非ざるなり。
これを欧州の史乗に参考するに、往昔の議会はその議員たる者、往々委囑の主旨により一部の利益を主張して全局を達観するの公義を忘れ、従て多数をもって議決とするの代議の大則を抛棄するに至る者往々にしてこれあり。
これ代議士の本分を知らざるの過に由るなり。

 

 

現代語訳

衆議院の議員は、その資格とその任期とを定めて、広く全国人民が公選する方法を採用する。
本条の議員選挙の規定を別の法律に譲るのは、思うに、選挙の方法については将来。
時宜の必要に応じて補修するための便宜を図るためである。
ゆえに憲法はその細かな規定まで決めておくことはしないのである。

 

衆議院の議員は、すべて全国の人々を代表する者である。
そうして衆議院の選挙に選挙区を設けるのは、代議士の選挙を全国に一般化させ、選挙の方法を簡便にするにほかならない。
ゆえに代議士は、各人の良心に従い自由に発言する者であり、その所属選挙区の人民のために一地方の委任使となり、委嘱を代行する者ではない。
これをヨーロッパの歴史を参考にすると、かつての議会は、議員である者が、委嘱されていると考え一部の利益を代表して、全局を達観する公義を忘れ、従って多数決という大原則を放棄するに至る者が往々にしていた。
これは代議士の本分を知らない過ちによるものである。

 
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