皇室典範義解〜第十条

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皇室典範義解〜第十条

第十条 天皇崩するときは皇嗣即ち践祚し祖宗の神器を承く
(天皇が崩御するときは、皇嗣は、直ちに践祚し祖宗の神器を継承する)

 

 

口語訳

恭て按ずるに、神祖以来、鏡・剣・璽、三種の神器を以て皇位の御守と為したまい、歴代即位の時は必ず神器を承けるを以て例とせられたり。
允恭天皇元年紀に「大中姫命(おおなかつひめのみこと)、謂二群卿一日、皇子〈允恭天皇)将聴群臣之請今当上天皇璽符、於是群臣大善、即日捧天皇之璽符再拝上焉、及即帝位(日本書紀)」と云える是れなり。

 

上古(じょうこ)は践祚、即ち即位にして両事に非ず。
令義解に「天皇即位謂之践詐、位也」とある、是れなり。
此の時より践祚の日に神器を奉られたり。
蓋し、「天子之位、一日不可曠(歴世の宣命に見る。蓋し、古諺なり)。
故に、継体天皇群臣の迎える所となり、未だ帝位を踏みたまわず。
而して、史臣既に「天皇移樟葉宮」と書したり(藤原兼実玉海)然るに天智天皇重きを承けて仍皇太子と称え、七年の後に即位の礼を行いたまえり。
是れ践祚と即位と両様の区別を為したるの初なり。
其の後、歴代践祚の後数年にして即位の礼を行われたることありしも神器は必ず践辞の時に奉られること上古と異なることなし。
本条は皇位の一日も曠欠すべからざるを示し、及び神器相承の大義を掲げ以て旧章を照明にする。
若乃継承の大義は践祚の儀文の有無を問わざるは固より本条の精神なり。

 

再び恭て按ずるに、神武天皇より欽明天皇に至る迄三十四世曾て譲位の事あらず。
譲位の例の皇極天皇に始まりしは、蓋し、女帝仮摂より来る者なり。
(継体天皇の安閑天皇に譲位したまいしは同日に崩御あり。未だ譲位の始となすべからず〉聖武天皇、皇光天皇に至って遂に定例を為せり。
此を世変の一とする。
其の後、権臣の強迫に因り両統互立を例とするの事あるに至る。
而して、南北朝の乱、亦此に源因せり。
本条は践祚を以て先帝崩御の後に即ち行われる者と定めたるは上代の恒典に因り、中古以来譲位の慣例を改める者なり。

 
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