皇室典範義解〜第十九条

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皇室典範義解〜第十九条

第十九条 天皇未た成年に達せさるときは摂政を置く
 天皇久きに亙るの故障に由り大政を親らすること能はさるときは皇族会議及枢密顧問の議を経て摂政を置く

(天皇が成人に達しない時は、摂政を置く
 天皇が長期間にわたる故障によって、大政を行う事が出来ない時は、皇族会議及び枢密顧問の議を経て摂政を置く)

 

 

口語訳

恭て按ずるに、摂政は以て皇室避くべからざるの変局を救済し、一は皇統の常久を保持し、二は大政の便宜を疏通し、両(ふた)つながら失墜の愚を免れる所以なり。
摂政は天皇の天職を摂行し、一切の大政及び皇室の内事皆天皇に代り之を総攬する。
而して、至尊の名位に居らざるなり。
之を古今及び各国に参照するに摂政の事例一に非ず。
或いは君祚を仮摂するあり(飯豊青尊の摂政に居たまえるは此れに近し〉。
或いは人臣を以て大政を摂行するあり(殷の伊尹、我が藤原良房、是れなり)。
或いは共同摂政を組織し、輔臣を以て摂政体と為すあり(周の幽王の後の共和及び巴威爾(バイエルン〉索遜(ザクセン〉瓦敦堡〈ウィッテンベルク)等の国に於ける共同摂政是れなり)。
而して、国家の危機、亦、往々摂政の時に起こる者少なからず。
本条は摂政を認めて摂位を認めず。
以て大統を厳慎にするなり。
而して、人臣の摂政を詐さざるは次条に於いて之を見る。

 

天皇久きに亘るの故障とは重患、彌留(びりゅう)、歳月の久しきに亘り医治の望みなく、又は其の他の事故に因り、天職曠欠なるを請う。
而して、其の大政を親らするに堪えざるに至って始めて摂政を置くの事あるべし。
若し、天皇一時の疾病違和、又は国境の外に在すの故を以て皇太子皇太孫に命じ代理監国せしめるが如きは大宝令「以令代勅」の制に依り、別に摂政を置かず(欧州各国亦此の例を同じくする〉。
摂政を置くは己むを得ざるの必要に由る故に、天皇既に成年に達し、又は違豫常に複したもうときは摂政を罷(や)めること別に明言を待たずして知るべきなり。

 

次項、皇族会議及び枢密顧問の議を経るは何ぞ乎。
蓋し、事体時ありて、或いは疑似に渉ることあるを免れず。
故に、典範に於いて其の議を経ることを掲げて要件と為すなり。
其の諮詞と謂わずして議を経と謂えるは何ぞ乎。
天皇或いは諮詢の命を親らすること能わざるの情況に在るも皇族会議、枢密顧問は皇室の大事に於いて推?、傍観すべきに非ず。
進んで其の誠を致し以て宮禁の大計を定めるべきなり。
其の或いは皇族会議に由って発議し、枢密顧問の審議に付すると、或いは枢密顧問の発議に由り皇族会議の共同を求めると供に時宜に従うなり。

 
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