日本銀行政策委員会審議委員2名が交代、今後はどうなるか?

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日本銀行政策委員会審議委員2名が交代、今後はどうなるか?

 

日本銀行

令和4(2022)年7月23日に、日本銀行の片岡剛士政策委員会審議委員と鈴木人司政策委員会審議委員が任期満了により、退任となりました。

 

新しく内閣より任命されたのは、高田創政策委員会審議委員、田村直樹政策委員会審議委員です。

 

 

第2次安倍政権以降の日本銀行政策委員会

第2次安倍内閣が誕生して以降は、現在の黒田東彦日本銀行総裁の他、リフレ派と呼ばれる経済学者などが副総裁や審議委員に入るようになりました。任期は5年となります。

 

・平成25(2013)年3月20日〜平成30(2018)年3月19日
岩田規久男副総裁
後任が
・平成30(2018)年3月20日〜
若田部昌澄副総裁

 

・平成27(2015)年3月26日〜令和2(2020)年3月25日
原田泰審議委員
後任が
・令和2(2020)年3月26日〜
安達誠司審議委員

 

・平成29(2017)年7月24日〜令和4(2022)年7月23日
片岡剛士審議委員

 

リフレ派の学者などを日本銀行の政策委員会に入れることはアベノミクスにとって重要なことです。アベノミクスは、安倍政権がデフレからの脱却を掲げて行った経済政策で、「3本の矢」によって構成されています。

 

第1の矢が「大胆な金融政策」として金融緩和を行ってデフレマインドを払拭すること、第2の矢が「機動的な財政政策」で約10兆円規模の経済対策予算によって、政府が有効需要を創出すること、そして第3の矢が「民間投資を喚起する成長戦略」で、規制緩和などを行って企業や個人が自由にビジネスができるようにすることとなります。

 

リフレ政策について

リフレ派とは、「リフレーション」政策を唱える経済学者のことを指しています。デフレから脱却するには、インフレを発生させる経済政策、つまり金融政策と財政政策を行うことで、景気回復への期待感や有効需要を創出することが必要です。

 

金融政策は、金融緩和を行ってマネタリーベースを増大させることが重要で、人々のデフレ期待を一掃させ、景気回復や拡大する期待感を持たせることになります。景気回復の期待感が持てれば、企業は設備投資するようになり、個人は消費を増やすことに繋がるため、アベノミクスにとっての一番の肝となる政策です。

 

財政政策では、有効需要を創出するため失業者対策や法人税、消費税などの減税措置を行うことで、金融政策で行った景気回復への期待感を阻害させないようにします。

 

景気を回復させるには、中央銀行と政府が協調行動を取って金融政策と財政政策を行うことが何よりも近道となります。つまり、中央銀行がアクセルを踏んでいる(金融緩和を行っている)ところに政府が増税(景気の阻害要因)などを行えば、効果は薄まり景気回復までの道のり自体が緩やかなものに留まってしまいます。

 

金融政策は2023年3月がターニングポイント

令和5(2023)年3月19日に、黒田東彦日本銀行総裁、雨宮正佳副総裁、若田部昌澄副総裁の3名が退任されます。現在、日本銀行総裁の有力候補は、雨宮正佳氏となっています。

 

これまでの日本銀行総裁人事は、改正日本銀行法が施行された平成10(1998)年4月1日前であれば、日本銀行出身者と旧大蔵省出身者が交互に総裁に就任する、いわゆる「たすき掛け人事」で行っていました。戦後になって14名が日本銀行総裁に就任しており、8名が日本銀行出身者、5名が財務省(旧大蔵省)出身者、1名がどちらの出身者でもありません。

 

日本銀行出身者の場合、日本銀行に入行し、日本銀行理事まで経験した人が、副総裁を経て総裁になります。旧大蔵省出身者は、事務次官経験者の中でも「大物事務次官」とされる人が就任していました。大物事務次官とは、2年の任期を全うするのが要件となります。現在の黒田東彦氏は財務官経験者となるため、異例人事でしたが、今後は財務官経験者も対象になる可能性があるでしょう。

 

副総裁になる可能性がある「大物事務次官」経験者は、細川興一氏、勝栄二郎氏、岡本薫明氏で、大物と認められる可能性がある財務事務次官は、消費増税8%を実現させた木下康司氏の4名です。

 

そして財務官経験者であれば、黒田東彦氏の流れを汲むのであれば日本銀行総裁就任前はアジア開発銀行総裁に就任していたため、財務官経験者でアジア開発銀行総裁であれば、中尾武彦氏と浅川雅嗣氏になるでしょう。

 

どちらにせよ、令和5(2023)年3月は日本銀行の金融政策が転換するターニングポイントになる可能性が高く、岸田内閣が本当に日本の経済を回復させたいと望むか望まないかの試金石になるのが、来年の日本銀行総裁・副総裁人事になります。

 

参考資料

首相官邸「アベノミクス『3本の矢』」
日本銀行「2022年7月25日審議委員の発令について」


 

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