日本の外交安全保障戦略「自由で開かれたインド太平洋」とは

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日本の外交安全保障戦略「自由で開かれたインド太平洋」とは

 

自由で開かれたインド太平洋

出典:外務省「自由で開かれたインド太平洋の基本的な考え方の概要資料」

 

平成28(2016)年8月27日から28日にかけてアフリカのケニアの首都ナイロビで開催された「TICAD VI(第6回アフリカ開発会議)」の基調演説において、安倍内閣総理大臣(当時)は「自由で開かれたインド太平洋戦略(Free and Open Indo-Pacific Strategy)」を対外に発表しました。以降、日本の外交方針、そして安全保障政策に位置づけられるようになります。

 

アジアの海とインド洋を越え、ナイロビに来ると、アジアとアフリカをつなぐのは、海の道だとよくわかります。

世界に安定、繁栄を与えるのは、自由で開かれた2つの大洋、2つの大陸の結合が生む、偉大な躍動にほかなりません。
日本は、太平洋とインド洋、アジアとアフリカの交わりを、力や威圧と無縁で、自由と、法の支配、市場経済を重んじる場として育て、豊かにする責任をにないます。
両大陸をつなぐ海を、平和な、ルールの支配する海とするため、アフリカの皆さまと一緒に働きたい。それが日本の願いです。

 

外務省「TICAD VI開会に当たって・安倍晋三日本国総理大臣基調演説」

 

 

「自由で開かれたインド太平洋戦略」の原点

「自由で開かれたインド太平洋戦略」の構想は、平成18(2006)年に発足された第1次安倍政権まで遡ります。第1次安倍政権では、谷内正太郎外務事務次官(当時)が中心になって企画・立案された価値観外交における「自由と繁栄の弧」が打ち出され、「自由」や「民主主義」、「法の支配」などの価値観を共有する国家同士の関係を強化する政策となります。

 

平成19(2007)年8月22日に安倍内閣総理大臣がインド議会で演説した際に、「二つの海の交わり」、つまり、インド洋と太平洋の2つの海を一体として見ることです。

 

太平洋とインド洋は、今や自由の海、繁栄の海として、一つのダイナミックな結合をもたらしています。従来の地理的境界を突き破る「拡大アジア」が、明瞭な形を現しつつあります。これを広々と開き、どこまでも透明な海として豊かに育てていく力と、そして責任が、私たち両国にはあるのです。

 

外務省「インド国会における安倍総理大臣演説『二つの海の交わり』」

 

皆様、日本はこのほど貴国と「戦略的グローバル・パートナーシップ」を結び、関係を太く、強くしていくことで意思を一つにいたしました。貴国に対してどんな認識と期待を持ってそのような判断に至ったのか、私はいま私見を申し述べましたが、一端をご理解いただけたことと思います。

このパートナーシップは、自由と民主主義、基本的人権の尊重といった基本的価値と、戦略的利益とを共有する結合です。
日本外交は今、ユーラシア大陸の外延に沿って「自由と繁栄の弧」と呼べる一円ができるよう、随所でいろいろな構想を進めています。日本とインドの戦略的グローバル・パートナーシップとは、まさしくそのような営みにおいて、要(かなめ)をなすものです。
日本とインドが結びつくことによって、「拡大アジア」は米国や豪州を巻き込み、太平洋全域にまで及ぶ広大なネットワークへと成長するでしょう。開かれて透明な、ヒトとモノ、資本と知恵が自在に行き来するネットワークです。
ここに自由を、繁栄を追い求めていくことこそは、我々両民主主義国家が担うべき大切な役割だとは言えないでしょうか。
また共に海洋国家であるインドと日本は、シーレーンの安全に死活的利益を託す国です。ここでシーレーンとは、世界経済にとって最も重要な、海上輸送路のことであるのは言うまでもありません。
志を同じくする諸国と力を合わせつつ、これの保全という、私たちに課せられた重責を、これからは共に担っていこうではありませんか。
今後安全保障分野で日本とインドが一緒に何をなすべきか、両国の外交・防衛当局者は共に寄り合って考えるべきでしょう。私はそのことを、マンモハン・シン首相に提案したいと思っています。

 

外務省「インド国会における安倍総理大臣演説『二つの海の交わり』」

 

インド洋は地政学的に重要な要衝

インド洋には、「地中海と紅海と結ぶスエズ運河の入り口」や、「ペルシャ湾とオマーン湾の間にあるホルムズ海峡」、「マレー半島とスマトラ島を隔てるマラッカ海峡」などの世界経済にとって重要なシーレーンが含まれています。日本を始めとして、「自由」や「民主主義」などの価値観を共有する多くの国々が連携して防衛することは、世界経済を守ることにも繋がります。

 

安倍政権の外交・安全保障戦略の重要な役割を担ったのは、谷内正太郎氏です。第1次安倍政権当時は、外務事務次官として、第2次安倍政権になると初代国家安全保障局長に就任しました。

 

政権が代わっても「自由で開かれたインド太平洋」ビジョンは重要な国家政策となるため実現に向けて、関係各国との連携強化が行われていくでしょう。

 

参考資料

外務省「自由で開かれたインド太平洋の基本的な考え方の概要資料」
外務省「TICAD VI開会に当たって・安倍晋三日本国総理大臣基調演説」
外務省「インド国会における安倍総理大臣演説『二つの海の交わり』」


 

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